第36話人助け(イベント1日目)

しかし、まだ昼過ぎか…。

精霊の森では、時間が進むのが早いと感じたがそうでもなかったのか。

イベントボスは、毎日夕方らへんに出るみたいだから、これはNPCのクエストを回りまくるか。

俺は、廻り巡ることにした。

まぁ、どうやって見つけるかって言ったら、困っていそうな人に話しかけることだよな。



俺は、キョロキョロと周りを見る。

すると、何やら困ってそうな少女がいた。

すごくウロウロしていたからだ。

近づいて、話しかけた。

「ねぇ、君。何か困っているのかい?」

「え?何?おじさん?」

おじさん呼ばわりは、きついなぁ。

外見は若いと思うんだけどなぁ…。

「いや、君が困ってそうにしてたからさ。ぞれに、俺も一応冒険者だしね」

俺は、ギルドカードを少女に見せる。

それをみて、少女は驚いたようだ。

「冒険者の人!?それじゃあ、私のお母さんを助けて欲しいの!」

「お母さんを?何があったのかな?」

「とりあえず…きて欲しいんだけど…?」

その少女は、上目遣いでこちらを見る。

まぁ、これならしょうがないな。

やってみるか。

「わかったよ。その前に自己紹介ね。俺は、ケンジだ。よろしく頼むよ」

「ありがとうございます…!私は、エリーナです。よろしくお願いします、ケンジさん!」

「わかった。じゃあ、家に連れて行ってくれないかな?」

「はい!こちらです!」



俺は、エリーナに付いていく。

すると、どんどん中心から離れていきマップ上では平民街と呼ばれる場所に着く。

「ケンジさん。ここです」

それは、少しボロボロの家だった。

「ここに、お母さんがいます。そこで、話をしてもいいですか?」

「いいよ」

そして、俺とエリーナは家の中に入る。

「お母さん!冒険者の人、連れてきたよ!!」

すると、奥から咳き込む声が聞こえた。

これは、少しヤバい状況なのかもしれない。

ビジュを出さなければならないなぁ…。

すると、めちゃくちゃ痩せ細っている女の人が出てきた。

「どうしたの、エリーナ?あ…こんなみすぼらしい姿ですみません…。私は、ルナと申します。エリーナの母親です」

「ルナさんですか。よろしくお願いします」

なんか、この人美人っぽい影があるなぁ。

なんとかして治してあげたい。

「すいません…。この病気は治らないと聞いたので、すいませんが…」

「そうなんですか?」

すると、エリーナが叫ぶ。

「違うもん!!治るよ!!だから、治してよ!!ケンジさん!!」

「そんなに、迷惑をかけてはいけないわ、エリーナ。もう、いいのよ。貴女がいれば」

ヤバいヤバい。

非常にヤバい状況だ。

まずは、鑑定で見てみるか。

「すいません。一応、できることはあるか確認したいので、鑑定してもいいですか?」

「え?あ、はい…どうぞ」

俺は、鑑定を行使する。




名前:ルナ

職業:魔術師

レベル:23(60 低下中)

体力:200(2500 低下中)

筋力:50

魔力:50

素早さ:10

器用:14

運:-100(デバフ特性)

スキル:なし(デバフ特性)

最後の呪い(ステータス低下 スキル削除)

状態:死に際




やばい、これは非常にヤバい状況だ。

どう打開するべきか、考えなくてはいけないな。

まずは、ビジュとリーシャを出すか。

「来い、ビジュ、リーシャ!」

「なんでしょうか?ケンジ様」

「参りました…ケンジ様」

「すまないな、急に呼んでしまって。やってもらいたいことがあるんだが、その前に、リーシャのステータスを見せてもらうぞ」

「はい…かしこまりました」




名前: リーシャ

種族:光大精霊

レベル:60

体力:3000

筋力:1500

魔力:10000

素早さ:350

器用:1350

スキル:光魔法Lv9 聖魔法Lv4

ユニークスキル:癒し

称号:光を纏し者




いや、強すぎないか?

こんな人を俺に精霊王様はくれたのか?

えぐいなぁ…。

まぁ、聞くか。

「リーシャ。このルナさんに掛かっている呪いを解くことはできるか?」

「この呪いですか…?少し見てみます…」

リーシャはじっとルナさんの身体を見る。

すると、話し出す。

「これなら、大丈夫です。呪いは強力ですが、解くのは簡単みたいです。光魔法と聖魔法を併用すれば可能かと。しかし、魔力が足りず、体が持たないかもしれません…」

「そうか…それならば、ビジュ。回復の魔石はあるか?」

「はい、ご用意できます。三つぐらい出しましょうか?スキルレベルが上がっているので、出せると思います」

「それなら、頼む。じゃあ、ルナさん、いきますよ?」

「そ、その前に、この方達は…?」

「あ、そうでしたね。この者たちは、私の使役しているモンスターです。私は、テイマーな者で」

「あ、テイマーの方…ですか?それにしても人型って…?」

「では、いきますよ。ビジュ、リーシャ頼むぞ」

「「はい!」」

まず、リーシャは詠唱を始める。

《汝 呪いを解かん 我にその力を与えたまえ 呪いは世から消えるもの》

《ディスペルフォロー》

そして、すぐにリーシャはもう一つの魔法の詠唱をする。

《聖なる光と この者に栄光ある未来を 素晴らしき世の光景を》

《エクソシスト ジャッジメント》

最後に、ビジュが回復の魔石を出す。

《回復せよ 全てを癒し 全ての状態を無効にせよ》

《パーフェクトヒール》



たくさんの光が出ている。

それが開けると、とても綺麗な人がいた。

「え?治った…?」

エリーナがルナさんに抱きつく。

「お母さん!お母さん!治ったよ!すごいよ!!」

そして、二人で泣き抱きついている。

「よかった…よし、二人とも疲れているから戻っていいよ?」

「ありがとう…ございます」

やはり、リーシャはたくさんの魔力を使ったみたいだ。

ディスペルフォローは呪いの解除で、エクソシストジャッジメントは呪いの元を絶つ魔法らしい。

数分たって、二人とも泣き止んだ。

ルナさんが頭を下げてお礼を言ってきた。

「ケンジさん、ありがとうございました。しかし、私は何もできないのですが…?」

「それじゃあ、と言ってはなんですが、レベルも高いですよね?」

「そうですね…冒険者をしておりましたので…」

「それじゃあ、一緒に冒険してくれませんか?俺、ランクEなので…」

「E何ですか?わかりました。一緒に行きますね。引退する前まではAランク冒険者だったので」

「え?Aですか?」

急な暴露に驚いているんですけど…。

「私、一応有名な冒険者だったんです。昔の話ですが…」

「あ、すいません。最近、この都市に来たので」

「そうなんですね。じゃあ、一緒に行きましょうか」

ルナさんは、笑った。

とても、いい笑顔だ。

そして、エリーナも話す。

「ありがとう、ケンジさん!私のお母さんを助けてくれて!!」

「いいよ。また、一緒に暮らせるね?」

「うん!」

うん、いい笑顔だ。

子供が見せる笑顔はいいな。



さてと、もうすぐで魔人が来る時間だな…。

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