第3話 材料調達



視点{カリム}




それからアリスは毎晩教室に来るようになったが

特に話すわけでもないから俺は別に気にもしなかった


でもアリスはお菓子作りにハマったらしく時々クッキーを持ってくるようになった

まぁ程々においしかった

設計図の作成は順調だったが夜にしかできないため昼間は暇だった

さて、設計図が出来上がったとしよう?

そしたら部品を組み立てるドックみたいのも必要だし材料だって必要だ


教会の外には偶然にも破棄された鉱山があるらしい

鉱山があるなら材料となるアルミなどの素材が手に入るかもしれない

とてもラッキーだ


だが教会の外には出てはいけないという決まりごとがあった

教会の周りにはレンガでできた壁があり外には出られない

どうにかできないものかと思っていた

そんな時である


「え!完成したの?」

「あぁ穴の大きさもばっちりだ」

「昼間のほうがばれないよね」


そんな話声が聞こえてきた

教室の隅で俺より年上の子供が数人集まり、ヒソヒソと何かを話している


「じゃあ今から行こうよ」

「行こう行こう!」


俺はその子供たちの行動が不思議に思い

こっそり後をつけてみることにした


「ゴミ置き場?」


しばらくついていくとゴミ置き場に到着した


「ここから出られるんだね」

「そうだ、行くぞ」


コッソリ観察しているとゴミ置き場の裏の壁に子供が通れるほどの

穴が開けられていて、その子供は穴を通り抜け外に出ていった


どうやらあの子供は外に出るためにジメジメしているゴミ置き場の壁に

目をつけ少しづつトンネルを掘っていたんだ


俺も通り抜けようと、穴に近づき外へ出た

教会の外は初めて出たが特に変わったところはなく

ただの草原が広がっているだけだった

さっきの子供の姿はない、どこかへ行って遊んでいるのだろうか?


俺は草原を見た後、少し先に山小屋のようなものがあるのに気が付いた。

そこまで5分程度歩き近づいてみると結構大きな山小屋で中を見てみると

スコップやつるはしなど鉱山で使っていたような道具が放置されていた


さらに奥に進んでみると入り口の反対側には、

大きく削られた岩のトンネルがあった


「・・・・・・・・・間違いないここは鉱山だ」


山小屋を鉱山で働く人の休憩場所として使っていたのだろうか?

道具のさび具合や山小屋は少し壊れていることを考えると

もう長く使っていないようだ


「そうだ、ここを使わせてもらおう」


すごいぞ

すべての条件が揃っている

鉱山と古くなっているが山小屋がある

でも放置されているということは、ここの岩からなにもがとれなかったことも考えられる


俺は山小屋にあった錆びたつるはしをもって岩のトンネルに行き

つるはしで岩を削って小さな岩の破片が取れたので、

その岩を手に取り魔力を流し込む・・・すると様々な金属の存在を感知した

アルミニウム、銅、鉄、リチウムなどがある

試しにアルミニウムの板を作ってみる

魔力を集中し板をイメージする


すると鉱物からスライムのようにアルミニウムが抽出され、板状に成形されていった。


「・・・・・・成功だ」


しかしなぜこれほどに金属があるのに、この鉱山を放置したのだろうか?

宝石でも発掘しようとしていたのか?


何はともあれ俺にとっては宝の山だ

ここなら何の問題もなくハンヴィ―を作れそうだ

でも、まずは設計図や必要な部品のリストを作らなければならない

そろそろ夕方になる、俺はすぐゴミ置き場のトンネルを通り教会へ戻った

この時俺は8歳だった

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