第五章 ほろ苦いティラミスは悲しみの味 ―逃避―


 和光は一瞬だけ美鈴と視線を交わして踵を返す。そして美鈴は輪島を伴い玄関を出た。

 侵入者の居場所はほんの数メートル先。

「私が西園寺美鈴よ。要求に応えにきたわ」

 そう堂々と名乗った美鈴に、男はあからさまに動揺を見せた。

「ほ、本物、か? いや、そんなこと、ありえねぇだろ?」

「本物よ。貴方、まさか私の顔を知らないで出せなんて騒いでたんじゃないでしょうね?」

「なっ! んなワケあるかよっ!」

 だがそうは言いつつも、男はまだ信じられないような顔で美鈴をまじまじと見ている。

(私が出てくることは想定外ってこと?)

 顔には出さずに美鈴は不審に思う。だが今はそれを考えている場合ではない。

「人質を解放してほしいの。なんなら私と交換してもいい。

 貴方だって、使用人よりも西園寺家の一人娘を人質にしたほうがいいんじゃない?」

 まさかそんな提案をされるとは思っていなかったのだろう、男は迷っているようだったが、しばらく考え込んだ後、舌打ちをして頷いた。

「分かった、交換だ。ただし、後ろのヤツは動くなよ?」

 後ろにいる輪島を警戒しているようだが、男は美鈴の提案を受け入れた。

「お嬢様、おやめください!」

 悲痛な春江の声に、しかし美鈴は首を振ってゆっくりと男に近づいた。

 そして男が手を伸ばせば届く距離になった時。

「おらよォ!」

 男は抱えていた春江を突き飛ばし、代わりに素早く美鈴を抱き込んだ。

 そして男は美鈴の顔を確かめるように顎に手をかけて上を向かせる。

「よォ、お嬢様、いーい度胸だなァ」

 美鈴は男の瞳を真っ向から睨んで言った。

「どうせ貴方に逃げ場なんかないもの。それとも、逃げられると思って? この状況で」

 震えはない、強気な美鈴の台詞だった。

 男はその気丈さをせせら笑った。

「逃げられるさ。なんたって、アンタが人質なんだからな」

「そうね。車を用意させる、とか?」

「ははっ、そうだな。そうさせてもらうとすっかァ。あとは―――――金だな。

 で、あのさっききた兄ちゃんを呼べよ」

 演技と悟れないようにと慎重に口にした台詞に、男はまったく何の疑問も持たない様子で食いついてきた。頭があまり良くないようで助かったと美鈴は内心胸を撫で下ろす。

 まあ、それを見越しての―あの完璧な全自動人形オートマチックドールがそこを見誤るとは思えないし―作戦なのだろう。

 だが気になることが一つ。

(国枝を呼ぶ? 何故?)

 どうして彼を指定するのか。

「…………分かったわ。お金を用意させて、国枝に持ってきてもらう。それでどう?」

 分からなかったが、美鈴は男の意に沿う返答をした。

 男はそれに下卑た笑いを浮かべて上機嫌に言った。

「いいねぇ、物分りが良くて!」

 それを確認して美鈴は輪島に向かって指示を出した。

「そうしてちょうだい」

「…………かしこまりました」

 小さく頷いた輪島は打ち合わせ通り和光を潜ませた車を持ってくるはずだ。

 しばらくの後、玄関のロータリーに西園寺家の車が用意された。

 運転席から降りた輪島を十分に下がらせると、男は美鈴を車の中に突き飛ばす。

「助手席に乗れ。妙なマネしたら、ぶっ殺すからな」

 運転席側から助手席へと移るよう促された美鈴はそれに従う。

 次いで車に乗り込んだ男はエンジンをかけ、睨みつけている輪島に笑って手を振った。

「じゃあな、あの兄ちゃんに言っとけ。必ず金を持ってこいってよ。場所はあとで連絡すらぁ」

 男はもう口笛でも吹き出しそうな様子だ。美鈴を人質にできたことですっかり油断しているのだろう。さっさとトンズラする為に車を発進させる。

 だが車が屋敷の門を通り抜けて公道に出ようとする、その直前だった。

「動くな。止めろ」

 車内に静かな声が響いた。と同時に、男の頭の横には銃が突きつけられていた。

「なッ―――――お前!」

 何故ここに、と、突如現れた和光に男は驚愕する。

 和光はそんな男にもう一度だけ警告した。

「車を止めろ。止めなければ撃つ。

 お嬢様、目をつぶり、耳を塞いでいてください」

 付け足された言葉は雄弁に語っていた。和光はその男を殺す気なのだと。

「やめろ!」

「では、止めろ」

 男はブレーキを踏んだ。

「エンジンを切って、キーをこちらへ」

 男は言われるままにエンジンを切り、震える手でキーを抜く。そしてそれを渡すために後ろを振り返り―――――握っていた拳銃を和光に向けた、その瞬間。

 銃声が響いた。

「――――――っ!」

 思わず美鈴はぎゅっと目を閉じた。

 そんな彼女の耳に聞こえてきたのは。

「ちっく、しょうめ!」

「では、もう一発打ち込むことにしましょうか。その口を閉じていただくために」

 男のがなり声と冷静な和光の声だった。

 そっと目を開くと、真っ赤に染まった男の腕と取り落とされた拳銃が見えた。

(撃ったのは、国枝?)

 それが分かった瞬間、美鈴は自分が何をすべきか本能的に察知した。そしてその考えのままに、さっと手を伸ばす。

「流石です、お嬢様」

「あっ! テメェ!」

 血にぬれた拳銃を美鈴は震えながらも握っていた。これで男は丸腰だ。

「さて、貴方はこれで何もできない。撃ち殺されたくなくば、車を降りなさい」

 その淡々とした和光の言葉に男はわなわなと震え、それでもドアに手をかける。そして乱暴にそれを開け放ち、転がり出る勢いのままに男は駆け出した。

 それが男の最後の悪足掻きだったのだろう。しかし予想に反して、外に出た和光は男の後を追うことはなかった。

 逃げていく男などには目もくれず、和光は撃った運転席を確認し、それから美鈴の握りしめている拳銃をとり上げて安全装置をかけると躊躇いなく血のついたシートに腰掛けエンジンをかけた。

 美鈴はちらりと道路を見やり聞く。

「あの男、逃がしていいの?」

「かまいません。深入りは危険ですし、ここから移動することのほうが優先されます」

 そんな和光に美鈴は確認した。

「屋敷にはもどらないのね?」

「はい。もうお分かりだとは思いますが、あの屋敷は危険です」

 和光の言う通り、美鈴も半ばそれを予想していた。

 そう、あの男はやすやすと屋敷の玄関まで入り込んだのだ。拳銃を持っていたというのに。

 それが意味するところはつまり、内部からその手引きをいた者がいるということ。だとするならば、このまま屋敷にもどったところで同じことが繰り返されるだろう。

 美鈴は短く答えた。

「分かったわ」

「では、いきます」

 和光は屋敷とは反対の、市街地へと続く道に車を走らせる。

「そういえば国枝、貴方どこに隠れてたの。ちっとも気配なかったけど」

「後部座席の裏に潜んでいたんです。古典的な手ですが上手くいきました」

 ちらりと後ろを見れば座席の一つが倒されていた。さすが元スパイといったところか。こんな事態になっても和光の顔には焦りもない。いつも通りのポーカーフェイスだ。

 そんな彼の横顔に不意に込み上げてきた感情に、美鈴ぎゅっと拳を握った。

 押し殺さなければいけない。これは知られてはいけない。

 そう、決めていたのに。

「お嬢様、ここで車を捨てます。こちらへ」

 車を降りた和光が手を差し伸べた、その時に。

 隠せない、と美鈴は思ってしまった。

 きっと彼は気付く。気付いてしまう。そうしたら――――美鈴は。

 その一瞬の躊躇いに気付いたのだろう。

「大丈夫です。今、手袋をはめますから」

 和光が手袋を懐から取り出そうとして、だが美鈴はそれより早く和光の手をとっていた。

「いいわ。はめなくて」

「………………お嬢、様」

 重ねられた手から伝わる感情が。

 恐怖と不安と―――――切なくなるような、それが和光には分かって。

(安心、させて、よ)

 ほとんど衝動的に和光は美鈴を抱き寄せていた。

「すみません、お嬢様。今、しばらくだけ、お許しください」

 そんなことを言う和光の腕の中の温かさに、美鈴の身体から力が抜けた。

(そんな風に言わなくたって、分かってるくせに)

 美鈴がそれを許すことなど彼にはとっくに知れているだろう。

(怖かった…………怖かったんだから)

 なだめるように和光の手が美鈴の背中を優しく撫でる。

(だから、あとちょっとだけ、このままで。そしたら、怖くなくなるから)

 震える美鈴の身体が落ち着くまで和光は抱きしめ続けた。

 しばらくして美鈴がぽつりと言った。

「もう大丈夫。分かるでしょ?」

 和光はそっと腕をほどくと頭を下げた。

「すみません、私ごときがこんなことをして」

「それ、逆に嫌味にも聞こえるわよ? 貴方ごときに、私がすがったって」

「いえ、私はそんなことを言いたいわけではなく」

 だが美鈴は和光の言葉を最後まで言わせない。

「やっぱり貴方は私を見くびっているんだわ。自分の感情ぐらい把握しているし、そこをなかったかのように庇ってもらうなんて、屈辱以外の何ものでもないのよ。

 せめて、お礼くらい言わせて」

 手を離さずに美鈴は言った。

 これは彼女にとってきちんと分かってもらわなくてはならない事柄だったから。だが和光も頑として譲らなかった。

「いいえ。やはりいけません。ああしたことを私はするべきではないのです。

 お嬢様、手を離してください。手袋をはめますので」

 それでも美鈴は引き下がらなかった。

「外しなさいと命令したのは私よ。それに貴方の機能を今活用しないでいつ使うのよ?

 私の安全の為よ、このままでいなさい」

 むきになって言う美鈴に和光は黙り込み、そして深い溜息を吐いた。

「分かりました。ではこのままでいます。ですが、私は二度とああしたことはいたしません」

「…………私は感謝しているのに。とっくに分かってるんでしょ」

「それでもです」

 どうしてそんなことに拘るのか、分からない美鈴はムキになって続けた。

「とりあえず、お礼を言うわ。ありがとう、国枝」

 和光は心底弱った顔をして、それから苦々しく言った。

「お気持ちは確かに受け取りました。ですから、今後からはそれを口にしないように」

「それって、お礼のこと?」

「そうです」

「何でよ」

「何でもです!」

 強いその口調に思わず美鈴は怯んだ。

 そんな彼女に和光はハッと口をつぐみ、それから深く息を吐いた後に話し始めた。

「ともかく、今は身を隠すほうがさきです。いきましょう」

「……………ええ。それで、これからどうするの?」

 自然と和光は美鈴の手をとりエスコートする。美鈴は手を引かれるままに歩いた。

「ひとまず、ここに入ります」

 和光が示したのは有名な百貨店だった。美鈴にはすぐに何をするのかが分かった。

「身を隠す準備をするのね」

「はい、その通りです。お嬢様のキャッシュカードを勝手に拝借してきました、すみません」

 どこに隠し持っていたのか、スッと出されたカードは確かに美鈴の名義のものだ。

「許すわ。これを想定してのことでしょ。で、お金をおろすのね。上限額いっぱいまで?」

「はい。それから―――――服装、及び身につけている物をすべて変えましょう。もちろん私もですが。

 それがすみ次第カードと携帯電話は破棄します」

 てきぱきとするべきことを説明する和光をじっと見つめ、美鈴は聞いた。

「そこまでしなくちゃいけない敵ってこと?」

「念には念を、ということです」

「分かった」

 和光が警戒しているのはおそらく追跡者。ならば用心するに越したことはない。

 美鈴は頷いて和光と共に百貨店へと足を踏み入れた。



 それから半時ほど後。

「気付かれるかしら」

 美鈴はいかにも少年っぽいパーカーに、髪を束ねていれたキャップ、だぼついたズボンで身体のラインを隠し、男だか女だか分からないような格好をしていた。

 対して和光はいつもオールバックだった髪をおろし、伊達眼をかけ、カジュアルなジャケットを着た、まるで好青年のような姿で堂々と繁華街を歩いていた。

 ちなみにさきほどまで身に着けていたものは全て―キャッシュカードはめちゃめちゃに切り刻み、携帯電話は水没させて―百貨店のコインロッカーのなかだ。

「しばらくは大丈夫でしょう。携帯電話のGPSも破壊しましたし、あの百貨店までは追えるでしょうが、それ以上の追跡は困難なはずです。

 現に今は追跡されていません」

 だがそう言いつつも和光は周囲への警戒を怠らない。しかめっ面、とまではいかないが、少々街をブラつくにしては硬すぎる顔だった。

 だから美鈴はわざと軽い口調で聞いてみた。

「で、どうするのよ? このままデートでもする?」

 そうして腕を絡ませて見上げた和光の顔は、面白いくらい弱ったもので。

 美鈴は思わず吹き出した。そんな彼女に苦々しく和光は溜息を吐く。

「落ち着いて話せる場所が必要ですね」

 そう言うと辺りを見渡し、彼は繁華街の一角を指差した。

「あそこなど、どうでしょう?」

 ぴかぴかとネオンが輝くその店に美鈴は目を輝かせた。

「カラオケ! 私、入ったことないのよね!」

「そうなのですか?」

「ええ! だってほら、学校の送り迎えは基本的に車でしょ? 帰りに友達とこういう所によることなんてないし。

 あと、自宅に持ってるって友達が多くて、入ったことなかったの!」

 しかし興味はあった、といったところだろう。ちょっと興奮し頬が赤くなっている。

 和光はそんな美鈴に笑いかけた。

「では、歌っていただきましょうか」

「え、私だけ? 貴方だって歌いなさいよ」

「私は流行の歌を知りませんから苦手なんです。歌えないこともないんですが。

 でも、ここは良く利用しましたよ」

 そう言って和光は店へと美鈴を促す。

 建物内の個室に入ると美鈴は物珍しげにきょろきょろとあたりを見渡した。

「お嬢様、何か歌われますか? ああ、先に飲み物を頼みましょう」

 和光が慣れた手つきでモニターを操作するので、美鈴は軽く目を見張った。

「貴方、本当に良く利用するのね」

「ええ。カラオケは密閉空間で密談するのに最適ですから」

「成程ね」

 もとの職業柄、ということらしい。

「とりあえず、飲み物はどうします? オレンジジュース?」

「ジンジャーエール!」

 メニューを覗き込んで言う美鈴に和光はやわらかく頷く。

「分かりました。ではお嬢様、このモニターを操作して」

「こう?」

「ええ。そうしたら選曲ができるので」

「ふぅん…………ってなんで普通に遊んでるのよ? 話があるんじゃなかったの?」

 すると和光はいつものようにしれっと言った。

「ええ。ですから飲み物が運ばれてくるまで普通にしていてください。いきなり話し込んだら怪しまれるでしょう?」

「……………分かったわ」

 不満顔だったが美鈴は和光の言う通り何曲かを―かなり楽しんで―歌い、頃合いを見計らって和光を問い詰めた。

「で、本題よ。国枝、あの男の狙いは何?」

 和光は屋敷では言えなかったことを美鈴に報告した。

「狙いは、おそらく私です」

「は? 貴方? どういうこと?」

 首を傾げる美鈴に和光は説明を続ける。

「あの男は私が交渉に出ていった時、私が『国枝か』確認した後に発砲してきました。

 そして、やたらと私がくるよう、拘っていた」

「そうね。私もそれは感じてたわ。私が狙いというよりも、むしろ貴方を呼び寄せようとしていた」

 それは、美鈴を狙っているかのようにみせかけ、その実この全自動人形オートマチックドールを排除しにかかった、ということだ。

 それから考えられることは。

「つまり―――貴方が何であるか知っている人物がいて、私の傍に貴方がいられては邪魔、と」

「そういうことになります」

「で、そいつが『犯人』ってことね」

「おそらくは」

 母、芙容を殺した人間が身内にいるならば、和光の『思考を読む能力』はさぞかし厄介なものだろう。

 彼を抹殺したい―美鈴の傍から引き離したい―のは、『犯人』でしかありえない。

 だが逆にそれは、こちらにも有益な情報となる。そう、『犯人』は和光のことを知っているのだ。

 そして和光がまだ会っていない人物となれば、それなりに絞られてくるはず。

「それが誰かまでは、まだ確定できないわね。でもこれだけは断言できる」

 美鈴は確信を持ってそれを口にした。

「犯人は、父様じゃない」

 わざわざ和光を差し向けた張本人がそれを排除しようとするなんて、非効率もいいところだ。

(父様は本当に私を守ろうとしてくれている)

 そう信じられる安心感は涙が出そうになるほどだ。

「国枝、話して。貴方が知っていること、全部よ」

 美鈴の瞳がじっと和光を見つめていた。

 誤魔化す気もない感情をのせて。

「………………お嬢様は本当にご明察であらせられます。

 時々、そうでなかったら良かったのに、と思ってしまう程に」

「それ、褒めてる? それともまだ隠す気?」

「褒めていますよ。そして、もう隠し事はできないと分かっています」

 だがそう言いつつも和光は息を吐いた。

「隠すべきではない、とも思います。ですが、私から話すべきではないとも」

「どういうこと?」

 難しい顔で黙ってしまった和光に美鈴は質問を重ねた。

「ねえ、和光? それは、さっき貴方が電話したことと関係がある?」

 和光は携帯電話を使えなくする前、ただ一度だけそれを使用した。それがずっと美鈴には引っかかっていたのだ。

「はい。その通りです」

 もちろんそのことを聞かれるだろうことは和光も承知だった。彼は分かっていて、美鈴にすべてを明かすつもりで、電話をかけた。

 が――――知りえた事実に和光は迷った。もしかすると、誘拐騒動もそれに起因することなのかもしれないが、自分の口からそれを明かすことが本当に良いことなのかどうか、彼には分からなかった。

 彼女は知らなくてはならない。が―――――知らされる状況はあまりにも酷だ。

 迷って、それから和光は美鈴をじっと見つめた。

「国枝?」

 真実を知りたいと願う、その心を。

 祈るような気持ちで和光は信じることにした。

「……………お嬢様、今から貴方を旦那様のところへお連れしたく思います。

 真実は―――――――お父上から、直接お聞きになるべきです」

 思ってもいなかったその提案に美鈴は目を見開く。

「父様に会えるの?」

「はい」

 どうしてか美鈴の胸はざわついた。

 知ってしまうことをこの時、彼女は初めて怖いと思った。

 けれど。

「いいわ。行きましょう」

 少女は頷いた。

 引き返すことはできないのだと。自分の望みを果たすことが最善なのだと信じて。

 そして少女は思い知るのだ。――――自分の望みがいかに浅はかだったのかを。









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