File5 作戦会議

2026年4月30日 AM11:41

首都東京

旧東京都浅草

某商業ビル2階

シェアハウス内部


勢い良く玄関のドアが開いた、信二が蹴破ったのだ。


「速くしろ、こっちだ!」


信二は足早に靴を脱いでリビングまで全力で走りリビングとダイニングの間に置かれた段ボール等の山から野戦病院等でも使われる折り畳み式ベッドと器械台を展開してダイニングへ持っていく。

ベッドを展開する頃には修二と尚人に担がれた恵一が入ってきた、右目からの出血と呻き声から激痛と戦い続けているのが分かる。


「ほらここに寝てくれ」


尚人は恵一をベッドの上に下ろすと白十字が書かれた赤いプラスチック製の箱を空けてメスやコッヘルを取り出して器械台に乗せる。


「オペは俺と修二でやる」


玄関横のキッチンからジャケットを脱いで白いエプロンを着た信二はニトリルをはめながら言う、更に奥から修二も同じく白いエプロンを着て出てくる、長い前髪と生気が宿っていない目のせいかマッドサイエンティストの様になっていた。


「よし、始めるぞ」


信二はそう言って恵一の負傷した目をゆっくりと開いて固定して、ライトで照らした。


「ああああクソ、痛ぇ!」


それと同時に瞼がじわりじわりと開かれる度に激痛が増して恵一は絶句しながら手足をジタバタとさせる、眼に入ったガラス片が動いたせいで眼球が切り裂かれるような感覚に陥ったのだろう、発狂するのも無理は無いが精密な作業を伴うというのに暴れられては埒が明かない。


「男だろ少しは我慢しろ!」


修二は両腕を顔の前に構えて恵一の暴れる手足から身を守る動作をしながら激励した。


「うるせぇ男がなんだクソ、こちとら眼球が裂かれてるんだぞ!」


それに対して恵一が即座に怒鳴り口調で言い返す。


「心配するな眼球は裂けてない、だから少し我慢しろ」


信二が言うと恵一の目を見て言った後に恵一の右目の瞼の裏にライトを当てて破片の位置を探る


「どこだ、どこだ?」


上瞼を探し終えて右のこめかみ前を見るとそこに破片はあった、直径1cmほどの破片が結膜に突き刺さり眼球を真っ赤に染まっている。


「おぅ、これはグロいな」


「グロいって...おい大丈夫なんだよな!?」



恵一は信二の呟きに過剰に反応するとまたもう一度足をバタつかせそうになる。


「いやグロくない、全然平気」


「いやこれは重傷でしょうね」


信二は早口で何か軽い嘘をつく時のような口調で訂正するが修二は煽り口調で知ったようなことを言う。


「お前それは言うなよ!」


アドレナリン注射を届けに来た尚人は叱責の要領で修二に怒鳴った。


「へぇここがあんたらの家か、そしてあんたの家庭では飯食うところで人の腹を開くんだね」


喧騒と激痛の中雛姫が先ほどの装備入りのゴミ袋を抱えて皮肉めいたことを言って部屋に入ってくる。


「ああお陰でたまに人肉が飯に混入することもあるぜ、前は間違えて人間のホルモン焼いて食っちまった」


「ねぇマジで最悪なんだけど」


修二が恵一を抑えている最中に半笑いしながら冗談で雛姫にカウンターを食らわす。繊細な彼女は不快感を覚えて眼を伏せて左手で右腕を摩った。


「よし、取るぞ」


信二は息を止めるとピンセットでガラス片をつまんで徐々に引きずり出す、ゆっくり確実に傷つけないよう手先に全神経を集中させて引き抜く。


「ふぅ...」


ガラス片を引き抜いてステンレス製のシャーレに落とすとその場で脱力してリビングのソファまで後ずさりして座り息をついた。


「修二、あと頼む」


信二は修二に残りの処置を任せてリモコンを使ってテレビを点けゲーム機にDVDを挿入して、お気に入りのアニメを観始めた。


「んじゃ尚人、後任せる」


修二は尚人の肩を軽く掴んで信二から投げ渡された任務を尚人に丸投げして冷蔵庫の方へ向かった。


「ほら恵一、あとは眼帯付けるだけだ」


「悪いな尚人」


尚人は恵一の目に白い眼帯を着けて頭の後ろで縛ると二人はリビングに移動してソファに座り込む


「それで、あの女どうする予定よ?」


尚人は一呼吸置いて雛姫を指さした。


「ああ雛姫な、チームに加えることにしたよ」


素っ気なく一言だけ信二が言うと尚人と恵一は目を丸くして信二の方を見た、あまりの衝撃に言葉を失っているようだ。


「逆ハーレム成立だなぁ、お姫様」


修二は雛姫に目線を送りながら言って、信二の方に右拳を突き出した。


信二は修二の右拳に左拳を合わせる。


「変わってないね、独断で何でも自分で決める、他人の事情なんて二の次で。まあ良いわ」


雛姫はタオルで顔に残った血を拭いながら信二を蔑んだ。


「どういう事だよ信二、説明頼む」


尚人がもたれかかった背中を起こして信二を睨む。


「スナイパーが欲しい、それだけ」


「それじゃ説明になってない、お前の感想だろ」


恵一はもたれかかったまま子供みたいに信二を指さす。信二はテレビのアニメを一時停止するとゆっくりと立ち上がった。


「なら入隊試験と行くか?ド肝抜かれるようなもの見せてやるからこれで納得してくれ。あ、ビビって小便漏らすなよ?」


信二はそう言うとテレビ台のゲームソフトの横に置かれたリボルバーを取り出して雛姫に渡す。そのまま壁に立てかけたダーツの的に無造作に6枚の丸いシールを貼ってから勢いよく的を回し始めた。


「6発フルで入ってる、シールも6枚だ、全部撃て」


そう言うと雛姫は的から15mほど離れ右手を的に向かって突き出して左目を閉じると息を吸いながら撃鉄を起こした。風船が破裂するような銃声と金属音が響く、1秒間隔を開けてもう一発、また一発と破裂音に似た銃声を発しながら的を撃つ、

6回目の銃声が止むとシールが貼ってあった場所に綺麗に6つの銃痕が出来ていた。


「す、すげぇ」


尚人は飲みかけていたペットボトルの炭酸水を口元でこぼしながら雛姫の作った的を見る。


「分かっただろ?」


信二は腰に手を当てて自慢げに言う。


「それで、異議ある奴はいるか?」


信二は左手を胸の辺りで挙げる、異議を唱える人は誰一人としていなかった。


「満場一致で良いな、じゃあ雛姫、フリーネットの方で俺のチームに誘っておくから」


「ああ私ID変えたんだよ、前のID死亡判定食らってて活動できなくってさ」


そう言うと雛姫はダイニングのテーブルにあるメモ用紙に自信のIDを記入した。”ルートナイト81”と記載されたメモ用紙を貰うと信二はマジックキーを出してフリーネットのページを開いた。


フリーネット、ヴェスビア首長国連邦に本社を置く世界最大のPMCが運営する傭兵と顧客を結びつけるサービスである、しかし近年の需要増加に伴ってSNSのようなフォロワ―システムや傭兵同士でマッチングして部隊を作成できるサービスも展開されるようになり傭兵コミュニティとして大きく成長している、また日本を含め世界でで活動している傭兵や抵抗組織の大半はこのフリーネットを利用している。


「じゃ、全部済んだってことでアタシは外の空気吸ってくるんで、後このリボルバーの名前、教えてよ」


「チアッパ・ライノ、良い銃だよ。俺は大嫌いだけど」


修二が答える。


「私はアンタの方が嫌いだけどね。まあ気に入ったわ、貰って行っても?」


「入隊祝いでくれてやる、大事にしろよ」


信二はその要望に応えるようにサムズアップで答えを示した。


「ありがと」


BDUの上着を脱いで黒シャツ一枚になった雛姫はそう言って右手で裏ピースをして非常階段を使って上階に登って行った。


「俺も仕事後の一服」


そう言うと恵一はソファの裏に隠したタバコと机の上のジッポライターを持って同じく非常階段へ向かった。


「煙目に入れないようにな、傷口に入るといてぇぞ」


「うっせ」


信二は恵一を追いかけようとするが恵一ははにかんでジッポライターを持った右手で信二に中指を立てて階段を駆け上っていった。


「口の悪い奴だ」


テレビのリモコンを取ってもう一度ソファに座りながら修二が呟く。


「まあでもあれがアイツだよ」


尚人は微笑みながらそう呟いた。

一方屋上では雛姫がフェンスにもたれかかって午後前の東京を眺めていた、ここは日本の首都である事に変わりは無いが、国家の根幹を頑強に固めたエリアと再開発計画がとん挫し放置状態にあるエリアに二分されていて、それはこの国そのものの現状を表していた。

雛姫が東京の空を見て想いを馳せているとドアが開いて恵一が入ってくる、気に入った曲を口ずさみながら雛姫の隣に立ちフェンスにもたれかかった。


「おうよぉ、地雷系の人」


恵一は雛姫の方を向いて手を振る。


「これは生まれつき」


雛姫は自慢するように人差し指を色白い頬に当てる。


「アルビノ?」


「失礼ね!」


「じゃあアイメイクは?」


恵一は煙草を口に咥えながら聞いた。


「これは隈」


雛姫は息をついてからそう答える、東京の化学物質交じりのケミカルな空気はどこか重い。


「アンタ目は?」


「そりゃ痛いに決まってんだろ」


恵一は煙草を左手に持つと食い気味に答える。


「雰囲気で分かるけどさ、アンタ結構怪我してるでしょ?」


「まあな」


「やめたくならないの?」


雛姫は案ずるように恵一を見て言う、しかし恵一はそんな過保護な目を一蹴するように遠くに見える高層ビル群を眺めながら微笑んだ。


「やめてどうするよ?行くところも帰るところもねえ、だからと言って大成学会の働きアリになるのもごめんだね」


「そっか、自由になりたいんだね」


「自由、良い言葉だ」


恵一は自由の意味を噛みしめながら左手を口元に持って行った。


「じゃあアンタは自由の為に戦うの?」


「ちょっと違う。俺が戦うのは...その、なんて言うかな、守りたいんだよ」


「何を?」


「今の暮らし、かな。朝か昼に起きて仕事ある日は仕事して、終わったら一服、そのあとは適当にゲームしたり麻雀打ったり、どっか出掛けたりとか、そんな感じ。

まあ制限と条件は腐るほどあるし、いつも勘ぐるから楽しくはねぇけどよ、それなりに自由」


雛姫は笑った、恵一が誇らしげに語る内容があまりにも滑稽だと感じたからだ。


「あんま頭良くないんだね」


新しい発見だった、雛姫は皮肉を込めて見ながら恵一に確認した


「まあな、高校なんて途中までしか行ってないよ」


恵一は右手で頭を掻きながら申し訳なさそうに零した。


「気にしないでよ、信二なんて高校行ってないんだし」


雛姫は信二を小ばかにするようにして恵一を慰めた、二人はそれでしばらく笑い合ったがいつからか信二が階段の踊り場から彼女らを見つめていた。


「高校じゃ学べない事、たくさん知ってるけどな」


信二のその一言で二人は黙った、気まずい雰囲気に包まれ恵一は背筋が凍るような感覚に襲われる。


「随分先進的な教育ね」


雛姫はまた皮肉を込めて言った。


「ああ」


信二は言って恵一の肩に手を乗せた。


「俺は何も言ってないぜ?信二」


「どうでもいい、恵一は銃火器のメンテナンスを頼む。雛姫は買い物に付き合ってもらう、一階で待ってる。それじゃ」


信二は親指で階段の方を指してから軽快に2階まで下り共同住宅のドアを開いた。


「よう」


エナジードリンクを喉に流し込む修二に声をかける、修二は机に出されたピルケースをチノパンツのポケットにしまうと片手を上げて返事を返した。


「なあ信二、今日の天気ってどんな感じだ?」


「曇りに曇ってる、人も空もな」


信二は皮肉りながら答えると炬燵机に置かれたタブレットを拾いフリーネットのウェブサイトを開き仕事を探す。気になる仕事をブックマークしながら眼中にない退屈な仕事は右にスワイプした。


「なあ修二、要人確保なんてどうだ?」


「要人ってのは?」


「大成学会を支持する財閥の夫妻だ、かなりの額を出資している」


修二は飛び起きて信二の右肩から顔を覗かせた。


「帝国帰結運動の連中か、テロリストに手を貸すなんて、お前も堕ちるとこまで堕ちたモンだ」


修二はそんな風に信二の頬に右手の人差し指を当ててからかった。

信二は不愉快そうに指をどけるとオーダーの詳細を開く。


「顔がアンパンで出来てるんだ、あんまつつくなよ」


「本当に?じゃあバイキンつけてやるよ、ほらパンチで倒してみろよ」


修二は無邪気に指で何度も彼の頬を突いて反応を楽しんだ。


「そのジョークはナンセンスだ」


二人は互いに冗談を言って笑い合った、死と隣り合わせの日常を送るからこそ、リラックスを心がける信二の工夫でもあり数少ない安息の時でもある為二人はこの何気ない会話を大切にしている。


「じゃあ決まりで良いな」


「ああ、決まりだ」


修二はそう言うとスナックを保管している棚に手を伸ばしカップ麵を一つ取った。


「身柄渡す前に尋問しよう、大成学会に繋がる情報全部絞ってやる」


「任務の詳細を頼む」


修二はそう言いながらポットの給湯ボタンを押してカップ麺に湯気を立たせた。


「全員が揃ったら通知する」


「じゃああの二人組を連れてこい」


「もうすぐ来るよ」


「了解」


カップ麺に蓋をした修二はバタフライナイフを蓋の重しにして炬燵机に置くとサムズアップで答えた。


「ガッツリ稼いで週末は羽振りよく行こう」


信二は言って依頼を受けた。クライアントの承認通知を待っていると間もなくしてクライアントの承認が下りた、信二はバナーをスワイプして息をつく。


「作戦会議だ、全員を集合させよう」


信二はスマートフォンを開いて恵一を呼ぶ、間もなくして彼らが降りてくると信二はタブレットをテレビに繋いで作戦計画書を投影した。


「まぁた仕事か?両目失うのは勘弁願いたいね」


「家で腐るよりはマシだ、恵一」


恵一はそんな風に愚痴を言いながら電子タバコにカートリッジを装着し加熱を始める。


「じゃあ、アンタたちのお手並み拝見と行くわ」


雛姫はソファーのクッション一つを抱きながら修二の隣に座って横を見た。感じたことの無い殺気に気を取られたのもあるが、それより修二の左腕の生傷のような、グロデスクな生物が寄生したような腫物に目を奪われたからだ。


「何見てんだよ?」


修二は麺を嚙み千切ってから真左の視線に疑問を投げかける。


「何でもないよ」


「腕だろ?」


雛姫は図星を突かれた為少し焦りを見せた。


「ただの肌荒れだ、移らねぇから安心しな」


修二は自身のコンプレックスをまだ何も知らない赤の他人同然の人間に見られるのが苦痛だった、腕の事情を知らない雛姫は申し訳なさそうに視線を逸らす事しか出来なかった。


「今夜の要人暗殺任務、場所は池袋サンシャインタワー、VIP御用達のあのでっかいビルだ。作戦内容はまずこれだ」


信二はテレビに二人の男女を映し出す。


「斎藤夫妻だ。夫はゲンゴ、妻はアヤ。ゲンゴは大成学会に医療機器や人体実験の器材を提供する大企業であるJHSのCEOだ。この二人の拉致が第一目標、第二目標はコイツら二人の子供である斎藤ショウゴの身柄確保。クライアントは日本解放戦線、テロリストだ」


「おい、テロリストと組むってのかよ!」


恵一は右手を上げて信二にそう問う。


「大成学会に繋がる任務なら、悪魔だろうがテロリストだろうが手を組むぜ」


「冗談じゃねぇ!俺たちが標的になったら?テロリストだぞ、爆弾ベストで厚着したお客さんがこの素敵なマンションに来たらどうするよ?」


「そのベストかっこいいねって褒めてやるよ」


修二は割りばしで恵一を指しながら冗談で返した。


「デザインが先進的ってだけで、お高いブランドのデザイナー共は評価してくれるしな」


信二は一度修二の冗談にのっかって恵一をなだめるようにした。


「まあ、俺たちが標的になる事はまず無い、お互い大成学会とやり合うだけで精いっぱいだしな」


信二はそう言うとまたタブレット端末をスワイプし次に地形図を表示する。


「今回の目標である池袋サンシャインタワー、今後はポイントアルファと呼ぶことにする」


画面に高層ビルの地形図が表示され高層階部分が丸く点滅する、信二がマーカーをセットした合図だ。


「ターゲットは夫妻をターゲット1と呼称、子供をターゲット2と呼ぶことにする。本日20時に会合を兼ねた祝賀会に出席する為アルファに向かう予定だ。この丸い点が祝賀会会場。だがこのタワーの警備は万全だ、ターゲット1が現地に入ってからは手出しできない為祝賀会の終了をここで待つ。2230には待機、2300に作戦開始だ」


画面はビルから少し離れたショッピングセンターを表示し、そこから高層ビルに繋がる矢印が伸びていた。


「国営経済振興センター、この施設の地下駐車場は24時間稼働している為ここに車両を待機させる、今回は2チームに分かれての行動だ、ターゲット1は修二が単独で追え、子供の方は俺と雛姫。尚人は運転手だ」


「使用する車両は86とハイエース。86は修二にやる、激しいカーチェイスになるがドローン攻撃なら護衛を制圧できる。俺たちは埼玉、まあ大成学会で言うところの首都近郊管理区2の斉藤家の邸宅を襲撃する。付け焼き刃の作戦で悪いが、なんとかやり遂げよう」


信二は一通り作戦を説明するとタブレットを机に置いて、団欒の場である炬燵机から少し離れたキッチンカウンターに目を向けた。


「恵一にはここからの支援を頼む」


カウンター上に置かれた一台のデスクトップを指差して恵一に片目を閉じて見せた。


「支援?」


「ああ、あのpcから必要な情報を送ってくれ。作戦区域にドローンを飛ばすように頼んでおく、そこからリアルタイムに敵の動きを把握することができるから逐一報告して欲しい」


「了解した」


「それとドローンオペレーターと繋げておく、修二からの要請や独自の判断で航空支援を行なって欲しい」


「わかったよ」


信二は息をついた、頭の回転が速いのは一つの取り柄だが思考を重ねれば重ねるほど疲労する、それが彼だ。信二はポケットから錠剤を取り出して口に含む、驚異的な疲労回復を起こすその錠剤は違法とされているが国家は法の遵守など求めてはいない、今この国が求めているのは国民の服従と命令の遂行である。


「それと、こいつらには個人として用事がある、私情を仕事に持ち込むのはポリシー違反だが、やるなら今しかねぇ。身柄を捕獲したのちに例の倉庫で落ち合うぞ」


信二はそう言って玄関へと向かって行った。


「とにかく作戦までは休め、解散だ」

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