第3ターン(五月)

 第三回:個別マスターより

「今月も『Drハルマゲの危険な世界』に参加してくれてありがとうございます。私信もありがとうございました。

 今回は寝ている自動知性戦車を起こさずにこっそり脇を通るのに、とてもよい方法でした。

 残念ながらアイテム『タイムマシンの部品C』は消滅してしまいました。

 今回の私信は「MSが自分のシナリオにこっそり自分のPCを参加させて、自分でマスタリングしてリアクションで大活躍させた、という噂は本当か?」という質問でしたよね。

 幸い、私は寡聞にしてその様な噂を聞いた事はありませんが、本当にそんな事があったとすればひどく「みっともない」ですね。

 ええ、色色な意味でとにかくみっともないです。

 大体、そんな事をするMSはPBMに参加するより、自分のキャラが無双で大活躍する小説でも書けばいいのです。PBMで自分で自分を褒めてそれを他人に見せびらかすという精神が理解出来ません。

 自分のシナリオでなくても、MSも自分の会社のPBMに参加すれば、友人のマスターに活躍する様にマスタリングされたり、有利な情報を裏から教えてもらえるのではないですかって?

 それはMSがそのゲームに参加してもいいという許可を運営からもらっている場合ですが、初見のコンピュータゲームを無敵モードを使って遊んだり、推理小説を犯人を知ってから読む様なものですね。少なくとも私は楽しくありません。

 接待麻雀や接待ゴルフではあるまいし、接待PBMをさせてもらって何が楽しいのでしょう。

 接待されているのが解っていていい気分になれる人もいるでしょう。

 しかし私は接待PBMされたとしても楽しくないでしょう。

 何故ならば私は『ゲーマー』だからです。

 私は真剣勝負を望みます。ゲームをしたいのです。

 もし私がこの『Drハルマゲの危険な世界』にPCを投入して遊んでいいという許可が運営から出ても、私はそのシナリオのマスターに一切手加減をしないでくれ、有利な情報を不法に与えないでくれとお願いするでしょう。

 私はゲームをしたいのです。

 栄光は自分の実力で勝ち取りたいのです。

 私はあなたも私と同じくらい『ゲーマー』であってほしいです。

 遊ぶ時くらい真剣になりませんか?

 こんな世の中だからゲームにだって全力投球しましょう。

 いやゲームだからこそ全力投球しましょう。

 私もMSとしてあなたを全力でマスタリングして、面白いリアクションを届けるように頑張ります。

 次回でまた会いましょう

 では、来月もあなたにPBMの守護精霊の御加護がありますように。

 五月某日 百円アイスMS拝」

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