ホラゲでよくあるような「怪物が徘徊する廃村」に置き去りにされた少年の話

絵の中の窓１２ 添付ファイル■■■

（映像が復旧する）

ウルフ０２「天井、２時の方向！」

（機銃の連射音）

ウルフ０３「クソクソクソ、どんどん増えてるぞ！」

（激しい衝突音）

ウルフ０４「防護隔壁、出力低下！残り２０％！」

隊長「各隊、状況報告！」

ノイズまじりの音声「アルファ、交戦中。押し込まれてます」

ノイズまじりの音声「ブラボー、交戦中！キリがないぞ！」

隊長「キア！どうなってる！？」

キア「わ、わからない！こんなことって、いつの間にか空間がすりかわっていたなんて」

隊長「…各チームの近くに出口を作る。できるか？」

キア「で、できます！少しの間なら…」

隊長「よし、カンジュラー０１は退路空間を確保。アルファ、ブラボー！撤退して外界で待機中のチャーリーチームと合流しろ。おれたち（デルタチーム）は最後（しんがり）だ。キア、お前の異能（ちから）が頼りだ。ふんばれよ」

＊＊＊

（銃声）

ウルフ０２「ウルフ０２、残弾なし」

ウルフ０３「こっちもだ、くそったれめ」

（激しい衝突音）

ウルフ０４「防護隔壁、残り４％！」

隊長「近接戦闘に備えろ。０２！新型の電磁ブレードは？復旧したか？」

ウルフ０２「動作不良」

ウルフ０３「あの女博士（くそあま）、ガラクタ寄こしやがって」

ウルフ０４「アルファ及びブラボーの離脱を確認…あっおい」

（人が倒れる音）

（奇妙な電気音とともに、ドアが閉まる音）

ウルフ０４「隊長、キアが！」

隊長「よくもった方だ…鼻血を拭（ふ）いてやれ。気道を確保して強心剤（カンフル）を投与」

ウルフ０４「意識、戻りません」

隊長「…緊急隔離プロトコル起爆準備。防護隔壁が停止する前に、お前たちはキアを連れて隔離範囲外まで逃げろ。その子が目覚めるまで、なんとか逃げ回れ」

ウルフ０４「隊長！？」

ウルフ０３「おれも残りますよ」

ウルフ０４「ちょっと、正気ですか！？」

ウルフ０３「年貢の納め時ってやつさ。あのよ、俺、」

ウルフ０２「やめて。言いたいことがあるなら、生きて帰ってちゃんと言いなさい」

ウルフ０３「…ああ、そうだな」

あ　あ　ああ　あ

ウルフ０３「クソッ、うるせえな化け物ども！いいトコだってのに…なんだ？」

（化け物たちが、なにかに吸い寄せられるように後ずさっていく）

隊長「あの方向は…例の旧校舎か？」

＊＊＊

ウルフ０２「全域、異常なし」

ウルフ０３「助かった、のか？」

隊長「…キアは？」

ウルフ０４「心拍安定。順調に回復してます」

キア「…いけます」

（奇妙な電気音。ドアの開く音）

隊長「デルタチーム、撤退する」

ウルフ０３「柄にもないクサい台詞（せりふ）吐いちまったぜ、編集しといてくれよ…」

ウルフ０２「いわれなくても、完全に削除しとく」

ウルフ０３「手厳しいねえ」