うすよごれたメモ 5

 もうどれくらいたったのか分からない。どうでもいいけど。


 きょうはと新しい道具について相談した。香木にお札を巻き付けてお守りにするのだ。こうかばいぞうだ。


 壁さんは理性的で頼りになる人だ。きっと昔はモテたんだろう。いまは壁に叩きつけられた肉塊みたいな姿だけど。


 壁さんに何度か頼まれて試したけど、まだ壁さんを。焼いたり切り刻んだりしたけどダメだった。あまり派手にやるとばけものどもが来るし。


 壁さんが痛がることはしたくないけど、祓い屋だった頃の知識と引き換えに自分を殺してほしいっていう壁さんの気持ちは分かる。こんなところに延々と縛り付けられているなんてイヤだよね。


 壁さんに別れを告げて、村役場を出たあとの帰り道でハエ男を撃ち落として食料ゲット。ボウガンの腕はまだまだ。二本も矢を失ってしまった。



 ***



 つい夜更かししてしまった。オイルランプの穏やかな灯りは、心を落ち着かせてくれる。北欧でヒュッゲっていうんだっけ?こういうの。


 柔らかなともしびのそばで、スケッチを走らせた。今夜の被写体はクモ女だ。肌色の節足動物みたいな身体の描写は、空間把握能力を向上させてくれる気がする。手錠が三つしかなかったから、断腸の思いで手?足?を三本切り落とさなくてはならなかった。ごめんね。

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