第20話:アーベントロート公爵領王国冒険者ギルド

「おい、おい、おい、おい、新人のくせに先輩にあいさつもなしかよ」


 絵に描いたような不良冒険者がからんできた。

 俺がアーベントロート公爵家を仕切っている間は、こんな冒険者はいなかったと思うのだが、急速に冒険者の質が低下しているようだ。


「どけ、どかないとぶちのめすぞ」


 俺は優しいので普通は言いがかりをつけてきた程度でぶちのめしたりはしない。

 だが向うから攻撃してきたら別だ。

 挑発をする俺が悪いという者もいるかもしれないが。

 だがここでこいつの性根を確認しておかないといけない。

 将来誰かを傷つけたり殺したりするような奴なら、ここで殺しておかなければいけない。


「な、生意気言うな、このド新人がぁ」


 体格のいい不良冒険者が剣を抜いて襲いかかってきた。

 明らかに殺す気で斬りかかってきた。

 だから俺も手かげんなしに反撃することができた。

 こんなクズのために自分の拳はもちろん剣も汚す気になれない。

 だから不良冒険者の剣を奪って心臓に突き立ててやった。


「おい、お前らこいつの仲間か。

 こいつが俺に襲い掛かってきたと証言するか、それとも同じように襲い掛かってきて俺に殺されるか、好きな方を選べ」


「ひぃいいいい」

「ふっへぇええええ」

「ころ、ころ、ころさないで、殺さないでください」

「ゆるして、ゆるして、ゆるして」

「おゆるしを、おゆるしください」


 さすがに俺の腕を見て勝てないと判断したようだ。

 問答無用でこいつらまで殺したら、三色仮面までお尋ね者になるかもしれない。

 それでは領地で動きにくくなってしまうからな。


「おい、受付。

 お前たちも見ていたな。

 最初に俺にからんできたのもこいつだし、殺そうとして剣を抜いたのもこいつだ。

 俺の無罪を証言するのか、それとも証言をせずに、今までこの腐れ外道のゆすりや殺人に冒険者ギルドが加担していてたと証明するのか、どちらだ。

 もしこの冒険者ギルドも犯罪に加担していたのなら、ボダルト王国の冒険者ギルドと同じように叩き潰すぞ」


「ヒィィィィ、かんけいない、かんけいない、俺たちは関係ない。

 こいつ個人が新人を虐めていただけで、冒険者ギルドは無関係だ。

 あ、ヒィィィィ、三色仮面か!。

 お前たちがボダルト王国の冒険者ギルドを壊滅させた三色仮面だったのか?!」


「知っているのなら話が早い。

 いいか、よく聞け。

 もしこの冒険者ギルドが悪事を働くようなら、悪人に手を貸すようなら、ボダルト王国の冒険者ギルドと同じように叩き潰す!

 おい、逃げるなクソ冒険者。

 お前たちもだ、お前たちも冒険者ギルドに関係なく、悪事を働いたり悪人に手を貸したらぶち殺すぞ。

 分かったか!」


「「「「「はい!」」」」」

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