第19話:嘆息と対応
「ヴェルナー様、お聞きになられましたか」
「父と母のことか、だったら聞いたぞ」
「お悔やみ申し上げます」
「気にするなフォルカー。
あれは父よ母の自業自得だ。
表向きはシルバーマスクに殺されたことになっているが、俺たちがやっていない以上、他の誰かに殺されたんだ。
不当な税をとられた上に奴隷に売られかけた領民たちも父と母を憎んでいた。
だが領民たちに厳重な護衛がついた父と母を殺せるわけがない」
あれだけ極悪非道な事をやってきた両親に対する同情など全くない。
むしろ殺されて当然だと思う。
「では、やはりミヒャエル様が公爵と夫人を殺されたのでしょうか」
あいつなら平気で両親を殺すだろうな。
俺も領民のためなら眉一つ動かさずに両親を殺せる。
だが多少は心が痛んだかもしれないな。
「恐らくな。
だがそんな事はどうでもいい事だ。
問題は父と母を殺したのがシルバーマスクにされている事だ。
恐らくだが、公爵家の当主になったミヒャエルが、領民を奴隷に売るのを邪魔するシルバーマスクを逮捕しようとするぞ」
「望むところです。
ミヒャエル本人がのこのこと現れたら、その場でぶちのめしてやります」
実力的にはその通りなんだが、フォルカーは運が悪すぎるからなぁ。
なんか不測の事態が起きてフォルカーが負ける不安があるんだよなぁ。
「そうなってくれれば話は早いのだが、卑怯で憶病なミヒャエルの事だから、武官家臣や奴隷商人にやらせるか、最悪の場合は嘘の依頼を冒険者ギルドに出すだろうな」
「そんな、騙された冒険者を殺すのはさすがに嫌です」
ずっと黙って話を聞いていたリヒャルダが会話に加わってきた。
「そうだね、まあ大丈夫さ。
俺たちの実力なら大したケガをさせずに冒険者を無力化させられる」
そうは言ったが、こういう時こそ大賢者スキルを使う時だな。
大賢者、ミヒャエルが冒険者を悪用するのを防ぐ方法を教えろ。
ピロロロロ
冒険者ギルドに三色仮面の名でミヒャエルの悪事を報告します。
愛が19695になりました。
なるほどね、それは確かに名案だな
「フォルカー、リヒャルダ、今から冒険者ギルドにいこう。
冒険者ギルドに行ってミヒャエルがやろうとしている悪事を報告するのだ。
ただしシルバーマスクではなく三色仮面としてだ。
俺たちがボダルト王国の冒険者ギルドを壊滅に追い込んだことは、この国の冒険者ギルドにも知れ渡っているはずだ」
「それは名案ですね。
冒険者ギルドは領主の権力には逆らい難いですが、命令した領主が先代公爵を殺して公爵の座を簒奪した本人だったら、身動きできなくなりますものね」
「その通りだリヒャルダ。
王家がどのような処分を下すか分からない間は、冒険者ギルドもミヒャエルに従う事も逆らう事もできなくなる。
分かったら直ぐに冒険者ギルドにいくぞ」
「「はい」」
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