第15話:暴発

「な、なにしやがる、フルフェイス野郎。

 やれ、やっちまえ、叩き殺しちまえ」


 昼間から冒険者ギルドでヒマしていた連中の兄貴分が命令する。


「殺すな、半殺しにしておけ」


「「はい」」


 俺はフォルカーとリヒャルダに強く命じた。

 俺がこいつらをぶち殺したい思いを必死でガマンしているんだ。

 2人も殺したいと思っているはずなのだ。


「死ねヤァ」


「ギャッフ」


 俺たち3人は殺さない事以外の手かげんはしなかった。

 顔の下の骨が粉々になるくらい強く殴ったし、手足の関節も粉々になるくらい強く蹴った。

 この世界最高の治癒術師でも治せないくらい骨を砕いてやった。


「おい、こら、まて、ギルド内での私闘は禁止だぞ」


 俺たちが一瞬で十数人のクソどもを半殺しにしたら、冒険者ギルドの受付リーダーらしい男性職員が止めようとした。

 ギルド全体が奴隷狩りや人身売買に加わっていたかどうかはわからない。

 だが、少なくともこの男が加わっているのはまちがいない。


「どうやらお前は奴隷売買に加わっていたようだな」


「な、なにをしょうこ、ギャッフ」


 話を聞く必要などない。

 普通に聞いてもウソを言うのはわかっている。

 そんな耳がけがれるような事をしても時間のムダだ。


「さあ、本当のことが話せるように、前歯をおる程度に手かげんしてやったんだ。

 お前だけが奴隷売買に加わっていたのか」


「ウッギャアァ、痛い、痛い、痛い」


「おい、おい、おい、爪を1枚はがしただけだ。

 これから20枚の爪をはがすんだぞ」


「まて、またな、ウッギャアァ」


「2枚目はチョッと肉がこびりついたな。

 このほうが痛いのなら次から肉がつくように爪をはがしてやろう」


「まってください、おねがいします、もうやめてください。

 わたしが、わたしがわるかったです」


「そんなことは聞いていないんだよ。

 俺が聞いているのはお前が奴隷売買に加わっていたかどうかだ。

 冒険者ギルドのどこまでが関係していたかだ」


「それは……ウッギャアァ」


「これで3枚目だけど、まだ痛いのかな。

 それとも3枚目なら少しはなれたのかな」


「おい、ぶちのめした冒険者からも聞きだせ。

 冒険者が先に正直に話したら、この男の爪を一度にぜんぶはがす」


「いいます、いいます、ぜんぶ正直に言います。

 冒険者ギルド職員のほとんどが加わっています。

 この支部のマスターや幹部はもちろん、本部のグランドマスターも幹部も全員加わっています」


「そうか、正直に言ったほうびに一度に骨を砕いてやるよ」


「ウッギャアァ」


「受付、ギルドマスターはここにいるのか?!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る