第13話:アースドラゴン

「ギャッオオオオオオ」


 大賢者、なんの声だ。


 ピロロロロ

 

 アースドラゴンです。

 愛が19701になりました。


 なんで最悪の予想があたるんだよ。

 フォルカーの運の悪さはとんでもないな。


「ふん」


 フォルカーが体くらい大きな斬馬刀をアースドラゴンにたたきつける。

 大きな岩もうちくだくフォルカーだ。

 フォルカーは巌の剛将とよばれるくらい強いのだ。

 アースドラゴンでも少しはダメージがあるだろう。


「ギャッオオオオオオ」


 アースドラゴンが凄すぎる、まったくダメージをうけていない。

 人間が相手なら今の一撃でアーマープレイトごと潰れているぞ。

 だが、まあ、いい、ちゃんと戦えている。

 フォルカーの運の悪さが強くでているときなら、あの攻撃の前にこけるからな。

 

「……我が最大の奥義をみせてやろうアースドラゴン。

 すべての生命力と魔力を斬馬刀にこめた、必殺のライフマジックアタック」


「ギャッオオオオオオ」


 ちっ、アースドラゴンのやつ、アースブレスを吐きやがった。

 岩や小石や砂で敵を破壊するアースブレスはふせぎにくい。


「兄上」


 リヒャルダもアースブレスが危険だと分かっているんだ。


「そんな攻撃にあたるかよ」


 やるなフォルカー、広がったアーズブレスを全部さけた。


「ギャッフ」


 フォルカーはなんて運が悪いんだ、分かっていたけど、それでも悪すぎるだろ。

 ちゃんとさけた岩が折った木が後ろから飛んでいて頭あたるなんて不運、ふつうは絶対におこらないぞ。


「リヒャルダ、フォルカーを助けろ」


「はい」


「大賢者の挑発」


 はずかしい、恥ずかしいがしかたがない。

 大賢者から学んだ魔術はどれも特別な名称を唱えないとつかえない。

 だが、とても強い魔術だから恥ずかしいのはガマンだ。

 今もアースドラゴンは俺しかみていない。


 大賢者、アースドラゴンを一撃で殺す魔術はなんだ。


 ピロロロロ

 

 大賢者のハマドリュアスです。

 愛が19700になりました。


「大賢者のハマドリュアス」


 どうだ、アースドラゴン。

 土属性のアースドラゴンは木属性が弱点だろ。

 大賢者のハマドリュアスは凄いこうかだ。

 アースドラゴンの体から8人の木の精霊が生まれてきた。


「ギャッ、ギャッ、ギャッ、ギャッアアアアアア」


 苦しいかアースドラゴン。

 人を食い殺そうとしたお前が悪のだ。

 

「すごい、すごい、すごい、凄すぎますヴェルナー様」


「ありがとうございます、ヴェルナー様。

 おかげで死なずにすみました」


「そんな大げさな礼はいらないよ。

 フォルカーだって運さえ悪くなければアースドラゴンに勝てるよ」


「……ですがその運が悪すぎます」


 すごく落ちこんでいるな、しかたがない、大賢者にきいてやろう。


 大賢者、フォルカーの運をよくする方法を教えろ。


 ピロロロロ

 

 方法はありません。

 愛が19699になりました。

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