第3話:大賢者スキル

 はあアアアア、大賢者スキルに愛が10000だって。

 何を言っているのか全く分からないぞ。

 今までは金か魔力が必要だっただろうが。


 ピロロロロ


 大賢者スキルを使われますか。


 ちっ、スキルを使わないと答えてくれないんだな。

 念のために聞くが、答えるのに愛をいくら使うんだ。


 ピロロロロ


 大賢者スキルを使われますか。


 この質問も愛を使わないと答えてくれないのか。

 分かった、大賢者スキルを使う。

 なぜ大賢者スキルになったら金や魔力ではなく愛を使うようになったんだ。


 ピロロロロ


 愛を使うようになったのではなく、愛も使えるようになったのです。

 今まで通りお金も魔力も使えます。

 愛が11008になりました。


 なるほど、今まで2つだった対価が3つに増えたのだな。

 では次の質問だ、賢者スキルと大賢者スキルの違いはなんだ。


 ピロロロロ


 賢者スキルの上位スキルが大賢者スキルです。

 賢者スキルでは限られた知識に多くの対価が必要でしたが、大賢者スキルでは広く深い知識を百分の一の代価で得られます。

 愛が11006になりました。


 これはいい、答え1つに1の愛しか使わないのだな。

 だったら大賢者スキルを存分に使わせてもらって復讐してやろうじゃないか。


「ヴェルナー様、だいじょうぶですか。

 お願いです、どうか目を覚ましてください」


 こりゃいかん、復讐も大事だが、リヒャルダを心配させるなんて最低だ。


「だいじょうぶだよ、ちょっとめまいがしただけだよ。

 保存食を食べてワインを飲んだら少しは血が増えるだろう」


「無理はされないでください、兄はとても強いのでだいじょうぶです」


「そうはいかないよ、命がけで助けに来てくれたフォルカーを見捨てるようでは、貴族としても騎士としても名誉を失ってしまうからね。

 ただリヒャルダが心配してくれるのも分かるよ。

 だから食事をして少し休むよ。

 保存食とワインを持っているなら分けてくれるかな」


 リヒャルダの事だからできるだけ美味しい料理を作ってくれようとするだろう。

 その間に大賢者にフォルカーを救出する策をたずねよう。


「はい、干肉をワインで煮て少しでも美味しくさせてもらいますね。

 用意する間にこのワインをお飲みください」


 冒険者が愛飲する各種薬草の入ったワインをだしてくれる。

 味よりも冒険するために必要なモノを優先している。

 かといってもマズイわけではない、少し苦みが強いだけだ。


 大賢者、フォルカーを助ける方法を教えてくれ。


 ピロロロロ


 質問が広すぎます。

 方法が多くなりすぎます。

 もっと質問をしぼってください。

 愛が11005になりました。


 一番安全で確実な方法を教えてくれ。

 今ある愛の量で助けられる方法だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る