第30話 2002/4 [さよなら、ニンゲンたち 〜サイバー・オズの未来]
さて、新年度となりました。
本誌も1999年7月の発行ですから、それから数えますと
もう、足かけ3年ですね。4月が来る度に愛らしい新入学児童とか、生徒さんとかが
街に増えるのを見ていますと
どことなく、時の流を感じてしまう今日この頃。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回はそんな訳で、ま、エイプリル・フールでもないのですが
ちょっと冗談っぽく、軽い読み物から行ってみたいと思います。
<今週の一冊>
[さよなら、ニンゲンたち 〜サイバー・オズの未来] 河出書房 /1996
Gregory.?S?.?Paul?
Earl?D.?Cox
?
著者は、それぞれ進化生物学者、AIの研究者として
有名な方だそうで、この本も割と有名だそうです。
内容としては、コンピュータ・テクノロジと人間の
関与、という部分をやや飛躍的に展開した未来予測、
のようなもので、ちょっとSFじみた読み物。
電車の中とかで暇潰しに読むには面白いです。
どんな感じかと言えば、例えば人間,状況認識のシステムがすべて
脳内での情報処理であり、自認する「事実」
というのは実は脳の中での仮想空間での出来事である..
(たとえば、普通のひとは三次元的に空間認識をするので
「宇宙の果て」はどうなっているのだろうか?と疑問を持つ、とか...僕もそうですけど^^;
実際に宇宙があり、自分はそこに生きている。でも、脳で想像する宇宙が、
"たて、よこ、たかさ"という次元の発想ではかならず"果て"にぶつかるはずだ、という...)
これを展開し、コンピュータ内に仮想人格を構築できれば肉体は要らない
などと飛躍し、ついには「意識」電子化、なんて話しに到達してしまう、というような感じで
お話しが進行します。^^;
現在の技術では人の人格、意識などというものを人工化する
などという所には程遠く、せいぜい反射程度の
反応を電子的に置換する、というあたりですから
この本の内容が物語である事は言うまでもありませんが
客観化する、という試みは無駄ではない、と思えます。
他、本書では未来人類の生態予測であるとか、人とコンピュータとの関りが
ヒトの生態に与える影響などに話しが進みますが
いずれも物語にすぎない、とはいうものの興味深いお話しではあります。
もし、ヒトの意識を論理化する事ができれば...
例えば政治、なんかも無駄なく効率的に出来るカナ、
などと想像は膨らみます(とくに、最近の日本の状況を見ていると。)
------------
項 バンダリズム考 63??
さて、粗暴化が進んでいる現代のヒト、とは言いますが
上記の本のお話しとの関連で言うならば
conputer-technologyに慣れすぎると、どうやらヒト社会では争いが
増えるらしい事は以前から言われていました。
その理由のひとつは、つまりところ使う人間が悪い、という適正の問題。
今まででも規則とかを窃用し不当な行為の正当化に使うような連中はいて、
そういうような連中がコンピュータと付き合うと、その論理性が
使うヒトの「排他性」を増幅するという傾向もまあ、昔から言われてましたね。
つまるとこ、ファシズムが流行った理由のように、もともとヒト
、牙のない肉食獣的な性質がありますから攻撃性がある。
社会的に禁じられてるので、どっかにはけ口が要る...で、それが祭りであったり..と。
で、コンピューターは今、ヒトの方が合わせてやらないと動かない、と。
それに慣れちゃうと、今度、オペレーターがニンゲンと付きあうと、いらだつ、面倒だ、..
それは、オペレーターの思考パターンがコンピューター的になってしまって、ヒトの曖昧さを
嫌う...
と、こんな感じかな。
だから、最近、急速にコンピューターが生活に定着しつつありますけど
過度に適応するタイプの性格の方にはちょっと危ない傾向、
でも、それはコンピューター・ソフトが使いにくいからで、
ユーザーの側にコンピューター適応を過剰に要求するからだ、と。
-----夢想としてのサイバー・ブレイン。
で、この本「さよなら、ニンゲン」では
「所詮、ヒトは脳味噌で考えていて、そこはLogic?systemだ、
あとのカラダは脳を維持するためのモノ。
だったら、全部コンピュータに置き代えちゃえば?という発想なんですね。
確かに、ヒトのくだらない争いはそれでなくなるでしょう..ね。
ヒトじゃなくなるんだから。
昔から、生命が終わりに近づくとそんな幻想の囚われたりもして。
で、ヒトは言葉を残そうと本書いたり、絵描いたり、
自分の子供に言葉を残したり。
それはまあ、自分の中のデーターを転送する、という行動だ、とすると....
この本の著者は「永遠の生命」なんていう幻想を
自意識のコンピュータ化、なんていう仮定でそれを実現できる、なんて言っていますが...
さて、俗に「本能」なんていうモノが存在しない意識が
いかに生きながら得た?所でそれにどんな意味があるのかしら、とか思います..
大抵のヒトは「快」に従って生きていますから、
つまり、本能的な充足が基底にあって快が存在するので
無生命に仮想的な自意識が構築できた、としてもその意識、
ヒトそのものとはかなり異なるモノ、になるでしょうね^^;
それ以前に、ふたりヒトが居れば必ず順位が存在し、
(現在ではその「順位制」を否定したので奇妙な暴力横行社会になった
、とも言えますが...おっと余談)
ネットワーク上に意識のあるコンピュータが複数存在した場合、
この「順位」をどうするのか?
否、本能が無いなら順位は不要だ、とするならば人の意識に不可欠な
「欲」の存在も否定しなければならない...ついには、論理性だけの変な自意識、
つまりはヒトそのものとはかなり違ったモノ、になりそうです。
この本ではそれにも触れていて快楽否定、ではなく、
サイバー・ブレインの新たな快楽が生まれる、と書いてますけど、
それがどんなものになるのかは触れてないです...というか、ヒトの感覚では今の所
わからないようなモノ、だろうと思います。
ヒトの快楽はみんな本能、つまりは攻撃性の充足(または置換されたそれ)ですからネ。
?????????????
つまるとこ、お話しにすぎないのですがまあ、面白い、ですね。
自意識の電子化、はともかく。
---------テクノストレスとヒト...
コンピュータとのお付き合いが過剰なヒトには
自己中心思考の傾向が見られる、などと言われて久しいですけれど...
それが、ヒトの暴力性とコンピュータ・テクノロジとの関連を示唆してはいます。
これ、テクノ依存などと言って、1980年代終わり頃からこんな事が言われていました。
つまり、極度に論理化、客観化に慣れてしまうと
それがいつのまにかヒト、他者の意識、などという存在がうとましい、自分の言う事にただ従わせたい、
などという傲慢な態度に転換してしまう、
というような
ヒトたちの事をそんな風に言ったワケでして
つまり、ヒトには根本に排他性があるのでそこは論理化できない...という事でありましょう。
オペレーターとCPU、という関係に長く慣れる
とそのオペレーターは普通のヒト社会に不適応する、
Logic?system過剰適応型のヒト、というのは...
言ってみれば、(性能の悪い)バイオ・CPUだ、ということで(笑)
こういうヒトは仮想的には機械になってしまっている、という事になり、
でも生物だから、基本的には攻撃性が存在するので
他の個体と接触し、対立した場合に行動が機械っぽいので(ーー;)
ふつー、ヒトだったらためらってしまうような事も出来てしまう...というコト、で
それが最近危険だ、と言われてたりしますが。
例えば、旧来だったら動物的な感覚で相手との順位を計りますね、だいたい。
あきらかに危険そうな相手には喧嘩売らない、とか
避けて通る、という知恵、とか。
こんなのは、子供の頃からヒトと接してれば自然に身につくものですね。
でも、こういう知恵がないから、あきらかにヤバイ、という相手を
挑発するような言動をして...で、事件になる。
とまあ、こういうあたり、そのヒトの状況判断能力の欠如というか、
脳内で認識する時の危険認識度、が甘いからこんなコト、になるようです。
それで、行動様式が機械的ですから、限度を知らない。
こんな感じですから争いが増えるのは必至か、と。
変に理屈ばっかり覚えると、こんな出来の悪いCPUみたいな人間ばっか
、になってしまいますね。
理屈、なんてのはより良く生きるためのもので、
それに使われちゃうと無意味なんだけど...と思うコトしばし
今年から学校を土日休みにして子供を遊ばそう、
と国が考えてるみたいで、これも知育偏重の是正措置、と言われています。
「他の子が遊んでるうちにウチの子を勉強させて」なんて考える卑怯な親が多いと
さてどうなることやら^^;
どっちかというと、土曜休みにしないで、学校で遊ばせた方が良いような気もします。
あと、ボーイスカウトみたいな団体に土曜は行かせる、とか。
.....そんなワケで、今回はちょっと軽く、コンピューターテクノロジ適応とヒトを
考えてみましたが、どうやら根本は使う側の資質に問題があるようです、ね。
のめりこみ、過剰適応、なんてのが原因だ、とすると。
今のいじめ社会、なんてのも正義と愛、なんていう概念が歪められている
状況への過剰適応がそれを作っている、とも考えられますし。
..ま、でもアンチ・ダーウィニズムっぽい進化論では「次世代への適応種は、現世代では
非適応種である」といわれてますから...
まあ、当然といえば当然の説ですけど、これに従うと次の環境変化が起きるのを
待てば良い、という事ですね。
(日本経済ではもう、起きているようで、旧時代の過剰適応種はどんどん滅びてるよう、ですね。)
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