第29話 2002/2 [暮らしの手帳が選んだ誠実な食品〜食品をもっと知るために]


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<きょうの一冊>



[暮らしの手帳が選んだ誠実な食品〜食品をもっと知るために]

暮らしの手帳社 編 2001/9



内容は二つに分かれる。

ひとつは、誠実な食品、とする食品の製造行程からの詳細なルポ記事。


もうひとつは、いかにもこの社らしい現在の「食」の問題点についての記事。

内容は推して知るべしというところだが、要点は...


・現在、流通している商品としての食品はごまかしが多い、なぜそうなるか、というと

メーカー側の利益の過度な追求=買い手を巧くごまかしてまがいものを売ろう

という風に誠意のない商売が横行しているため。

・しかしその他にも、買い手が見た目の新鮮さ、とかに惑わされ、

ニセモノ食品の方をむしろ好むなどという傾向もある

(例えば、見た目が赤いベーコンの方が良く売れるが、普通に作れば赤くはならず

発色剤を添加しなくてはあの色にはならない。しかし、それでは健康に害がある。

製造者としてはこれは悩みどころである。

.


というような、製造者の実に真面目な苦悩、また利益偏重傾向への反発、

そして真正なものつくりというもんは実に人生そのものだ。

というような感慨をうけるグラフ誌ですね。



こうしたごまかし技術の発端はどうやら戦時中のもの不足の時代にいろいろ

不足を補う意味で研究が行われ、戦後、今度は経済戦争に舞台が移行したので、

なりふりかまわずひたすら利益のみの追求で偽物食品の横行となった、という。

現在では普通の食品を作るメーカーがこのように雑誌の記事になるような事態であるが、

その背景に食品の国家規格が偽物食品の存在を認めているからである..そうです。



つまり、根底にあるものはヒトの攻撃性であり、たまたまこの時代はその矛先が経済、

利益偏重であるために

このような状況である、ということのようです。

(なんでも、とある食品メーカーの技術者は、自分の作った製品を絶対に食べない、

家族にも食べさせない、とか)。



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項 バンダリズム考 その 62




さて、丁度今雪印食品の問題が報道されていますね。

あのようなお話しは、かなり前から言われておりました。

有名な漫画「美味しんぼ」でも10年程前、こうした告発ものをシリーズした事も

あったりもして、その当時話題になったものでした。

日本的な環境ではなかなか不正はなくならないのはまあ長いこと封建時代が続きましたから、

善悪の概念が失われてしまったというあたりが要因なのですね。

正しい行動を取ろうとすると、悪い「上」に排除される...本稿で御紹介したAさんなどもそうでしたし

(彼の場合は、悪い上司たちも左遷されて、今では共に派遣社員の同僚として机をならべている

そうです...依然、意地悪ばかりしているそうですが、もう課長でもなんでもないので

誰にも相手にさないそうです...(^^)誠にざまあみろ、でありますね。)


旧くは忠心蔵、などもそうですね。いつも年末になるとロングラン上映を12ch

でやってますが、あれが人気を博す、という事も日本という国の問題をあらわしています。

(Aさんの元上司は少数民族の方だそうなので、厳密には日本の問題ではないですが)


ちょっと脱線しましたか。



つまり、善悪の概念を持って生活できずにいた国民が

今度「利益」が正義になってしまうとこんな風に乱れてしまう、という結果でもありますね。

偽者食品、今回の雪印の問題もそうですし、Aさんの問題もそうです。


しかし、そんな傾向にも終末は見えています。

雪印の場合でも、下請け業者が告発し、

こんかい、暮らしの手帳社のマガジンで紹介されたような真正直な商売を

されるかたが増えてきたり。

Aさんのように、正義を貫いた会社員の方が出てきたり。


これらは、みな利益偏重の考えからは出ない発想です。


また、現代の社会のありかたもそのような欺瞞に満ちた世の中を変えて行こう、

という気分になってきています。

それというもの、嘘で固めた商売がもう、出来なくなって来ているからです。

物が売れない、という現象もそうで、

あの手この手で騙そう、とするので「それなら買わないよ」ってソッポ向かれた、

ってのが正直な印象ですね。


これからの世の中は浄化に向かうはずです。

こうした動きを止めないように、私たちも頑張らなくてはいけない、

と思ったりもする今日この頃です...。


ちょっと、蛇足っぽく書き足しマスト、どうやらこの「インモラル」という現象に

差別といじめが関連している可能性があるのです。

例えば、食肉業界では長い間、職業蔑視、差別が行われていました。

そのため、その業種に携わる方々は、かなり不利益を被ったために「モラル」などという

きれいごとでは済まされない経済環境にあった、と言われています。

現代ではこうした状況にはやや改善は見られますが、根深い所での差別は未だに

続いている、といわれています。

そこで、この雪印の事件のように、下請けに危ない仕事をさせる、などという行為は日常的、

であるともいわれます。

今回の場合でも、証拠が隠滅された後、事件が発覚したらどうなっていたか。

と考えて行くとそこにはやはり弱い者いじめの傾向が見え隠れするように思えます。


また、例のサラリーマンたちのお話しについても同じで、これは以前、お話ししましたが

日常的に官僚が常駐しているような会社で、言語同断ないじめが行われていて

彼らは例外なくその被害者であり、またAさんの周囲の者はそれに加えて幼少期より

差別を受けていたような人々だった、というところから

不正を行い、目下に責任転嫁する、などというインモラル体質があたりまえだった、

という事のようです。


やはり、これらの状況から言える事は、いわれわなき差別なくさなくてはならない、

という結論になるようにも思えるのですが.....。


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