第21話 2001/1/2
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項 バンダリズム考 その 54
?ネオテニー現象との関連性?
<虐待報道に思う>
さて、これまでにお話してきたようね異常な人たちの人格形成に役立って?いたのは
おそらくは親権者、周囲の大人たちの暴行、愛のなさ、などとの関連が考えられ
ますね。
まあ、他には...
1)後天的に、現代の暴力肯定の傾向に流されている。
可能性は低い。実例があるとすると、その人物は著しく自己抑制が弱い、という
ことになってしまい、どちらかというと精神科領域の問題が潜在する可能性がある。
2)環境ホルモンによる攻撃性昂進
これも可能性は低いでしょうね。もし、抑制を破壊するほどの効力が環境ホルモンに
あるのであれば、同様の環境に生息する個体は皆、同様の生態となるはずである。
異常な行動を取る彼らは周囲と比較して「異常」なのであり、つまりは周囲との
行動形態の差異が存在する。(すなわち、化学的環境面からの影響は少ないはず。)
行動を良く観察すると、攻撃すべき状況を「選択」している
(自転車で暴走する少年では、ダンプカーには突進しない、企業内いじめでは
既得権の有るものには攻撃しない、むしろ媚びてタカル^^;とか。また、成人式で
暴れた若者も、裁判沙汰になりそうだと反省しているポーズを見せる、とか。)
つまりは攻撃性を制御しているのであり、環境ホルモンによる異常とは考えにくい。
とかが考えられたりもしますが....。
ヒトの人格が心底歪む、というのは私見ですが、無意識下の原体験が影響している
様に思えてならないのです。
例えば、執拗に嫌がらせをするような人物の過去、家庭環境を調査すると、
大抵差別か暴力の匂いがするもので(先のAさんの周囲では貧困、差別、暴力と
いった貧しい環境はその異常行動を示す者の背後に必ず存在していた、とか。)
まあ、あたりまえですが、満たされている者は周囲を攻撃したりはしないものです。
その意味では彼等も被害者なので、哀れな存在である、といえます。
(だからといって、許される行動ではありませんが。)
そんな前提から<虐待>の報道を見ると、心が寒くなると同時に、
疑問がふと湧いてきます。
「はて?救うことができるのか?」と。
仮に被虐待児の生命を救ったところで、彼等の心傷は救い難く、また
親権者の心が歪んでいるわけですから、救われることはまずないでしょうし、
ある種、死に至ったというのは、彼等にはむしろ幸せだったのではないか、と
そんな妄想すら覚えたりもしました。
生きながらえて、自らの心の傷、原初からの叫びに心が歪み、人を傷つけながら
生息するような個体はむしろ、ヒト種全体からの視点で存在しない方がよいのですし、
彼等の心を癒してあげることは困難ですから、彼等はむしろそこで死した方が、と。
ある日のこと。
私は、ある団地の人気の少ない公園で、僧侶の方と世間話(笑)をしていました。
と、3歳くらいの男の子がはだしにされ、母親が目付き険しく
その坊やの尻を叩いている、という光景に出くわしました。
一見してそれとわかる、虐待の様相。
私はすぐさまその母親を怒鳴り、制止を試みました。
その母親は、怒りの矛先を私に向け、ヒステリックに喚きはじめました。
明らかに、怒りの根源はその母親の内部にあり、真に彼女が攻撃するべき対象は
その、心の傷を作った者であり、彼女自身、それに気づいていないので
際限なく周囲を攻撃し続けるも満たされず苦しみもがく、という
よくある行動異常の一例のようでした。
その、宗教家の方は、子供を虐待していた母親を見、祈りを捧げました。
その、母子を見る眼差しは、私には慈悲を意味するように思えました。
「.........。」
なにを思ったか、その母親は怒りさめやらずも、子の手を引き、去ってゆきました。
....ヒトの未来に、幸多かれ。
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