第17話 2000/10/2 <河合隼雄のカウンセリング講座> その2


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[座 読書]




<河合隼雄のカウンセリング講座> その2


創元社 2000/8


河合隼雄先生、文化功労者として表彰されたそうですね。

偶然、前回この項でお話していただけに、驚いています。

NHKのTVで拝見いたしましたが、謙虚に受賞の喜びを

語る表情は晴れがましく、いい表情でした。

何故か、僕がメールマガジンに書くと、何か表彰を受けたりするので

(以前も、NHKのラジオ深夜便という番組とか...他)

不思議に思っています。


受賞、おめでとうございます! 先生。




<西洋・東洋>


前回のお話での<場>にも関連していますが、西洋ではとにかく議論で始まり、

意見が収束したら、わだかまりが残らない。

これは、実際に西洋人を見ると驚くほどにデジタルに変化するのですね。

さっきまで、激論を交わした相手と、決着がつくと、握手。笑いあう。

論理的なさまには、すがすがしさすら感じます。


ところが、西洋人にも最近は東洋的な「場」に価値を見出したりする向きも

あるようでして。

まあ、個人主義的な社会は疲れると言えば疲れるので、「場」にすがりたい、

幻想でもぼんやりと暖かい状況に憧れる、というのは何となくわかるような

気もします。


(どうも、西洋的な子育ての伝統が影響しているようにも思えます。

彼等は生後直ぐにひとりで寝かされますから、この時点での孤独感が

個人主義を生み、自立心旺盛な人格になりやすい反面、攻撃的になりやすい

というような特質は、心的現風景の「寂しさ」からのもがきであるとも

考えられるのではないか?とか。

そこから、ぼんやりとした生暖かさの「場」に、仮想的な「母性」のような

幻想を見る....とか。)





反対に、東洋では、西洋的な状況に憧れていたりもします。


(「場」はとにかくウザイ。(笑)うっとうしくて、しつこい教育ママのようだ。

こんな感じから、西洋的な状況に憧れる方、多いと思います。

これも、先の類推からは「東洋的な子育て、家族関係からの心理的脱却」のようですね。

最近の若者がとにかく周囲の状況を無視する、自己中心的だ、とされるのですが、

その実「地面に座る」「茶髪にする」「スノーボードする」とか、見事に「場」に適合して

いるあたり、興味深いのですが、これはやはり“自己中”が表現であり、彼等なりの

「母親的な鬱陶しさ」への心理的な反発であるかのようです。そういう彼等の母親、父親は

大抵日本的な「場」に過剰適応していて、彼等への接し方は愛情というよりは

服従訓練を強いているようであります..。まあ、これは、親たちがまた愛された記憶が無い、

という事なのでしょうが....。)




ただ、西洋と東洋は簡単には比較が難しいのは、文化そのものの背景の「宗教」が

根本的に異なるからだそうです。


(確かに、言語からして日本の言葉は制度的で、自分の身分を強く意識させますね。

「あなた」「君」「おまえ」=「YOU」ですから、言葉ひとつでも「場」がある。)





と、このような東洋と西洋の混交が今の日本の現状であり、カウンセリングを困難に

している要因でもあるそうです。


(括弧内筆者記。本項との関連について展開を試みた。)



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