第9話 2000/7/4


−−−−−−−−−−−結−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


[最近発行された本]


<擬態>  2000/3


主に、昆虫や小動物たちの生き残り戦略としての擬態について、実例の詳細

とそれに対する見解、論などを多数掲載されているかなり珍しい書物である。

こうした擬態などについて、例えば比較進化論的な見地より

「何故選択が、どのようにして行われたのか。またその進化の過程においては

本当に突然変異種が発生した結果の選択であるのか?

という異論は数多く聞かれたようであります。

この書物ではそうした部分にも触れ、例えばある種の花はターゲットとする

昆虫の大きさに合わせた花弁のサイズであり、また、その昆虫が花に潜り込んだ

際に効果的に花粉が背中に付着するように構造が出来ている、などと

実際に、不思議に思えるほどの適応を見せる生態の例が数多く紹介されています。


これが突然変異の結果だとするにはあまりに不自然ではないか?と

論者のひとりは主張する。

面白い自然、を垣間見るような一編である。


さて、こうした進化の結果、私たちはこうしてここに存在しているのでは

あるが、どうも文化においては「適応選択」が行われていないのではないか?

などと少し歪んだものの見方をしてしまうほどに

自然科学の世界というのは論理的である。

文化の適応選択とは、主に環境に対応して発生するのであるからして、

現状に適応した結果なのであるか、

あるいは全く淘汰が行われずに混沌としているかは不明であるが、

いずれにせよ奇妙な生態である。ヒトとは。

やはり、文化という存在がProgrammableであり、ヒトにとっては本質的な機制

というものが支配的ではない、という点が自由でもあり、危険でもあるという

不安定さに、やや危惧を感じてしまうのですが...。

(このところの世情を傍観していると。)



--------------+-------------------


項 バンダリズム考 その 41




?Eネオテニー現象との関連性?




<ル・サンチマンの項 続き>



<攻撃?>

さて、俗説ですが、「恋をすると頭悪くなる」なんて言いますね。

これはまあ、現象としては、本質的に持っている

攻撃行動(性もアタックです)は、支配的なプログラムであるために、

そのスイッチが入ってしまうと、論理的な思考能力などが

低下してしまう、という状況を指しています。


例えば、猫などは動いている物体は追いかけるという本質的行動

が攻撃プログラムであり、あたかも罠にかかるかのように

動いている物体を追いかけたりもします。これは猫の知性が低い、

という訳ではねく、それだけ攻撃的であるという事の

観測結果なわけです。


生殖と攻撃は基本的に動物にとっては重要なシステムであり

種の存続について(異説はありますが)重要であるというところから

なによりも優先されるように働いているわけですね。


そのため、例えば法律においても生命に関わる危険が存在した場合

例外として暴力を行使することに罰が与えられない場合があり

これは「正当防衛」なんていう実例で、しばし存在しています。


前置きが長くなりましたが、私的に暴力制裁をおこなっている

(いわゆる、いじめ、嫌がらせ)場合もやはり攻撃行動であるのでして、

まさにこれらの行動を行っている状態はしばし論理性からの逸脱が

みられる場合が存在します。


これが、観測上、「幼稚な行動」と見られ、

この状態が「ネオテニー」とされる。のかもしれませんね。


さて、この状況を先例に当てはめてみましょう。

Aさんの会社では、Aさんの正義感、嘘をつけない性格が災いし

不正が発覚し、その逆恨みで

Aさんは嫌がらせの被害にあう。

例のそば職人では、未熟な人格の者同士が傷付け合い、結果、

やはり逆恨みから殺害に。

と、これらの例では一見、「恨み」が動機のようですが

実はそうであるとばかりもいえず

こうした過剰な反応を示すヒトというのはそれまでの経験の中で

満たされなかった「欲」がありそれが深層で<ルサンチマン>

としてその後の人格に歪みを与える場合も存在しているという見解が

主に精神分析のフィールドからは得られるようであります。


まあ、ぶっちゃけた話、生まれたばかりの頃に周囲からいじめられると、

まだ母体の中から出てきたばかりなので、周囲と自分の区別が出来ていない

所に不満が出てくるから、訳わからずに「不満!」という感覚が根ついちゃう。

自分では何一つ出来ないのだから。赤ん坊は。

で、自分で動けるようになると、その無意識下の不満、不安から逃れようと

「周囲」に働きかける。

たとえば、親にいじめられたら「親的なもの」への反発、攻撃。

不安、飢えなどだったら「金銭、利得への執着」。

異常なほどの厳格な育児ママだったら、「自由、権力への執着」。


とか。(^^;


こんな感じかな。




聞くところによると、彼らは一様にいじめの被害者である、

ということですから、いじめによって心が歪み

それによって暴力行動に走った、と仮定することも不自然ではない

とも考えられます。


しかし、大きな問題点としては、以上の実例を見た場合、逸脱した

人物を規制する機構が非常に脆弱である事です。

これは言い換えれば、日本という国の「父権」機能に問題がある

という実例でもあるか、とも思えます。


そこから連想すると、最近の異常な事件多発もこれが要因では

ないか?とも思えてくるのですね。


父権の影響力の弱い社会、というものが正常に機能しない事は

まあ、道理、ですね。

内的か外的かに関わらす。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る