第10話 2000/8


−−−−−−−−−−−結−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




項 バンダリズム考 その 43




?Eネオテニー現象との関連性?




<しつけ>


さて、しつけなんて言うと、すぐに専制君主みたいな親を連想されると(たぶん)

思われますが。(笑)

そもそも、愛のないところでしつけはできない。

というより、子供の気持ちになってあげないと

しつけはできない。


コトバがわかる年齢になってからじゃ、もう遅いんですね。


論理的には、無意識下に<群れ>への帰属意識ができれば

それでいいのですね。



そして、これはヒトというより霊長類としての生得的な性質であるはずなので

それほど困難なことではないはず。なのですが、

これを困難なものにするほど現在のヒト社会は

「経済」「合理」という言葉に象徴されるような理屈に侵されている。


まず、生まれたばかりの子供が、母親と十分に接触する時間が与えられない。

この時点で、しつけは殆ど不可能になりますね、おそらく。

帰属しようにも、帰るべき存在が子供の心の中に作られないのですから。



"帰るべき存在"は深層の意識としては、温もりであるとか、

暖かさ、包まれる感覚、あるいは母体の発する匂い、であったりもしますが

そうした感覚が基底にまず必要であります。

それが存在して初めてその後の

「かけがえのない家族、愛、母性。」といった基準が

その個体に発生し、その後の社会生活においての「守るべき対象」

ができるからです。


(ゆえに、ネオテニー・ヒトは、この段階で何らかの障害が存在した

とも考えられます。

たとえば、例のバスジャック犯にせよ、金属バット少年にせよ

自分を中心に「親」を物体視するような傾向がありますが

本来、深層にそうした「守るべき存在・イメージ」

があれば親を物体視するはずはない、と考えられます。

つまりは、彼らは親との接触の

最初でつまづいている、と考えられます。)


故に、この段階で経済合理性のために

母親が子供預けたりしたらもうダメですね。


たとえば、0歳保育すると泣いたりしないとか言いますけれど

あれは「親」の存在が

認識できていないからです。


子供が親を求めて泣かないほうが異常です。

それゆえ、言葉を覚えて社会生活を始めれば、

彼らは、心根の寂しさから自己顕示行動を起こします。



それが、これまでにもお話しましたところの

バンダリズム行動の一因である、と見られています。


つまり、寂しいという無意識が「目立つ」という行為によって

深層では「母親」を呼ぼうとする

赤ん坊の本質的行動の代償行為を起こしているわけですね。




これは亜退行現象であると考えられ、

その意味ではこれは「ネオテニー」である、と考えられます。

つまり、異常に騒ぎ、親のいうことをきかない子供というのは

その前段階での失敗がある

可能性がある、ということです。


これの解決法のひとつとして、先にお話したヤノフなどによる

「原体験の追認」といった原初体験を振り返らせる、といった方法や、

他、有名なフロイト説などを根拠とした分析的アプローチなどがありますが、

いずれの説もこうした「無意識下の環境刺激」といった状況を前提となすもので

その時点でヒトの脳に何が起きているか?という疑問の解決にはならず

(生きている人間を実験台にはできず、また、言葉を未だ知らぬ赤ん坊の

「無意識」を言語で認識し、分析するという行為は困難である、と

考えられます、)


それゆえ、こうした論旨の確固たる根拠、裏付けは存在せず、

「...ではないか?」というだけのことです。これが「ヒトの精神」と

いう問題をヒトが考える。という状況の困難さを物語り、同時にこの問題を

複雑で難解なものにしています...


しかし、現代でヒトのこころにアプローチする場合のひとつの

解法として対症療法的に使用する場合には割と、有用な手段ではあります。

まあ、医学なんてものは大体そういったものがきっかけですから

これもその例外ではない、ということですね(笑)



-------[以下、次号へ続く]--------------------


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