第3話 なんでお前も写ってんだよ
あの後一緒に朝ごはんを食べて共に登校している。既に母から了承は得ているらしく慣れた手つきでうちのキッチンを使って朝ごはんをつくってくれた。結構家庭的な一面もあるんだなとちょっとドキッとしてしまったのは内緒だ。
「それにしても、梓の家ってここから結構遠いって聞いていたが朝はしんどくなかったか?」
「確かに引っ越して、遠くなってしまいましたけどね、懐かしいって気持ちがあるから大丈夫ですよ」
「あれ、梓も昔ここらへんに住んでいたのか?」
「何を言っているんですか? 幼馴染なんだから当たり前じゃないですか、昔みたいにあずにゃんって呼んでくれてもいいんですよ」
俺は梓の言葉に困惑をする。俺は梓をあずにゃんなんて呼んだことはないし、そもそも幼馴染ではない。彼女は遠くから引っ越してきたと聞いていたし、小中共に別々の学校で、初めて会ったのは高校のはずだ。なのに、彼女はまるで俺と昔から一緒だったという風に話しかけてくる。一体なにがおきているんだ? そう思っていると前を二人の男女が歩いているのが見えた。お、ラッキー。
「おーい、武、雫おはよう」
「先輩方おはようございます」
「ああ、勝利に梓か、おはよう」
「おはよう、勝利君、あずにゃん」
そう言って返ってきた返事に俺は違和感を覚える。あれ? 武のやつって梓の事は名字で呼んでなかったっけ? それに雫もあずにゃんなんてよんでなかったような……ちなみに武と一緒にいるのは雪乃雫という黒髪ロングのぱっと見は清楚系お嬢様のような外見だが、実際はいたずら好きでしょっちゅう俺と武にいたずらをしかけてくるというギャップのある美少女だ。武と雫は幼馴染同士で今は恋人として、毎朝登校している。ちなみに彼女は写真部と生徒会を兼任しており、梓とも仲良しである。
「なあ、二人とも。梓がいきなり俺の幼馴染とか言い出したんだ。何とか言ってやってくれよ」
俺の言葉で仲良くしゃべっていた三人の会話が止まり、武と雫が俺をしんじられないというような顔でみる。え? 俺なんかやっちゃいました?
「勝利……もしかしたら喧嘩してるのかもしれないがそれはちょっとひどいんじゃないか?」
「そうだよー、あずにゃんが可哀想じゃないの。いくら幼馴染だからって言っていい事と悪い事があるよ」
「いいんです……私が勝利先輩のお気に入りのエロDVDをみてキモイっていったから拗ねてるんですよ……でも、時止めはどうかと思いますよ」
「もー、あずにゃんは優しくてかわいいんだから。でも、勝利君の性癖はマジでキモイ」
そう言って雫があずさを抱きしめるといい感じに大きい胸に梓の顔が埋まる。わーお、うらやましいとか言ってる場合ではない。こいつら梓が俺の幼馴染だと認識しているだと……? 夢か、これは夢なのか? いや、そりゃあ、幼馴染は欲しいって願ってたよ。可愛い子がいいなって言ってたよ。梓は趣味も合うし、一緒にいて気楽だ。まあ、ぶっちゃけ好きかどうかで言われたら大好きだ。だけどなにがおこっているんだ……俺は自分の頬をおもいっきりつねる。
「いってぇ」
「何やってるんだよ……またくだらない意地悪をしてるのか、中学の時だってよく四人で遊んだりしたじゃないか?」
「うっそだぁぁ、俺が梓と会ったのは高校だぞ。証拠でもあんのかよ」
「だから何をいってるんだよ……写真だってあるだろ」
「まじか……」
そういって武が差し出したスマホにうつった写真には中学の制服を着た俺と武に雫、そして、俺達と同じ制服を着た雫がいた。確かに学校帰りにこっそりと三人でマックにちょいちょい行っていた。だけどその時には当たり前ながら梓はいなかったはずだ。
「ちょっとスマホを借りるぞ!!」
「おい!!」
俺に対して声を荒げる武を無視して写真をスクロールする。そこには三人でいったはずの博物館や遊園地などの他の写真にも同様に梓がうつっていた。あ、これ雫がエミリアたんのコスプレしてる写真だ。おっぱいやば!! ってそんな場合ではない。なんだこれ……どーなってるんだよ……俺は何が何だかわからなくなってしまった。存在しない記憶ぅぅぅぅ!! 呪術廻戦かよ……
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