第2話 朝起きたらそこに幼馴染がいました

 朝起きると目覚まし時計のジリリという甲高い音が部屋に鳴り響く。あー、もう朝か……昨日はあの後、武の家でずっとゲームをしていて夜遅くに帰ったので寝不足である。やはりスマブラはいいな! あいつがこんなに付き合ってくれるのは久々だったのでつい長居をしてしまったのだ。



「フフ、いつもは憎まれ口ばかりですが、寝顔は可愛いですね……まあ、おきている時も時々かっこいいんですが……」



 ゆめを見ているのだろうか、俺は一人で寝ているはずなのに、不思議な声が聞こえる。俺は眠気に負けそうになりつつも、目覚ましを止める。時間をみるとまだちょっと余裕があるな……もう少し横になろうとすると体をゆすられる。もー、なんだよ、母さんか? いつもは朝早いのに今日は有給でもとったのだろうか?



「いつまでも見ていたいですが、遅刻するわけにはいきませんからね。ほら、勝利先輩、さっさとおきないと遅刻しちゃいますよ」

「うーん……もうちょい横になってても……は? 梓か?」



 俺は目の前にいる梓に思わず間の抜けた声を出してしまった。彼女は少し照れくさそうに笑ってこう言った。



「はい、あなたの幼馴染のあずにゃんですよ!! うう……」

「いきなりどうしたんだ。うずくまって……」

「いや、自分であずにゃんって言っててダメージが……まだまだ幼馴染力が足りてないですね……」



 幼馴染力ってなんだよと思いつつも、俺は状況を整理する。朝起きたらいきなり、ちょっと気になっている後輩が幼馴染を自称して、俺を起こしにきた。いや、わけわからねーわ!! 確かに梓は結構うちに来ているし、母とも仲がいい。だけど普通朝っぱらか異性の後輩を部屋にあげるだろうか?



「いや、幼馴染力ってなんだよ。ってかなんでうちにいるんだよ」

「何を言ってるんですか? 時々おこしにきてあげているじゃないですか、ねえヴィクトリー」

「何でそのあだ名を知ってるんだよぉぉぉぉ!!」



 小学校の時に自分の名前を英語でいったらカッコいいかなって思っていた自分でつけていたあだ名である。無茶苦茶はずかしいんだが!! てか、今の高校は私立だから三、四人しか人間しかその俺のあだ名を知らないはずなんだが!!



「何でって、それは幼馴染だからですよ」



 彼女はそう言ってニコッと笑った。いや、まじ何が起きてんの?

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