第4話 雑に明かされたもの
さて、マリリンさんから留守番を仰せつかったわけだが、
暇すぎてクラーケンの召喚でもしようと思ったが、そふかさんの「海もなければ広さもないこの場所で召喚できるわけがないだろ?」という
「……これ、待ってる間暇ですね」
「そうだね」
完成したアイスをコーン(自作)に乗せながら相槌を打つそふかさん。
「雑談ですけど、一つ聞きたいことがあります」
「せめて疑問形にしなよ。断られても聞く気だろ?」
「バレましたか」
「バレないとでも?」
「他の方々にはバレないか、バレてもスルーしてくださるので」
「甘やかされてるね。……いや、そうなるように仕向けてるのか」
「買いかぶりすぎですよ。これだから頭の良い人は」
「よく言うよ。全教科100点で見事入学した、一学年主席」
「そちらこそ、入学試験で2点落とした、定期考査では一桁代をキープしている二学年現主席殿ではありませんか」
「……物知りだね」
「梅原家より格は堕ちますが、橋谷家もそこそこに名門ですので」
「僕としては、未だにそんなシステムがあることに驚きだよ」
交わされる言葉の応酬を一旦止めるべく、んんっと咳払いを一つする。
「まぁ、話を戻しましょうか。質問をしても?」
「はぁ……いいよ」
ちゃんと疑問形にしたのに溜息吐かれたんだが。訴訟。
「先程、会話の流れで八宝菜さんが慰めるみたいな話になったとき、すごい消極的だったんですけど、何でか分かりますか?」
「は!?!? あいつが誰か慰めてた!?」
「素が出てますよ」
「うるせぇ! 被害に遭ったの誰だよ!?」
「あーいえ、別に慰めてはいなかったんですが。微妙な反応をしていたので、ノリのいい八宝菜さんにしては珍しいな、と」
「……あー、そういう感じか」
てか、被害とは?
「あぁ……。あいつには小学校の頃、いじめられてた同級生を普通に慰めようとしたら間違えて洗脳した前科がある」
「???」
……? ???
「間違えて洗脳???」
「ヒント:あいつがいつも言ってる味方を増やすコツ」
「……“仲間に引き入れたい奴の周りが全員敵だと思い込ませて、自分だけが味方だと信じ込ませること”」
「正解」
……なるほど、理解した。その“周りが敵であるいじめられていた状況”と、“慰めの言葉をかけるのは自分だけだったという事実”が作用した結果か。
「あの人に他人を慰めるなんて機能あったんですか」
「ツッコミどころそこじゃなくね??? あいつも一応マトモだった時期があったんだよ」
あのハッピークレイジー馬鹿がマトモ……? ハッ(嘲笑)、まさか。
「まぁ、それにしても哀れですね。あんなクズに洗脳されるなんて」
「哀れも何も、そのいじめられてた同級生、酒……あー、薬屋だからな」
「…………………………………は???」
薬屋、薬屋……??? ヤクチュウさんのことか??? あれが? 洗脳???
「俺と八宝菜とマリリンと薬屋は、小学校同じだったんだよ。まぁ、俺はマリリンと薬屋とは同じクラスになったことねぇし、そこまで仲良くもねぇからあんま知らんけどな」
「???」
待って、待って。待て。情報量が多い。情報過多が過ぎる。過多が過ぎるって頭痛が痛いかよ。
「多分、今でもあいつの命令なら聞くと思うぞ」
「先輩方の相関図が本格的に分からないんですが」
本当にどうなってんだ???
「ちなみに八宝菜自身はクソほど後悔してるらしい」
「あぁ、本人曰く“罪悪感は抱く”らしいですからね」
あの狂人に心を痛める機能が存在するとは到底思えないがな。ぐちゃぐちゃになってる人間の画像見ると興奮するって言ってた人だぞ。その画像はどこで手に入れたんだ。
「まぁ要するに、彼女は死ぬほど“他人を慰めるのが下手”ってことだよ」
「今更取り繕っても遅いですよ」
「うるさい」
「語彙が幼稚ですね」
「耳障りだね、の方が良かったかな?」
「死んでどうぞ」
「君がね」
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