概念へ


ジャムパンが食べたかった

(こんなにも食べたいなんて………)

自らの欲望に異常性を感じた

たかがジャムパンではないか

パン屋へと駆けた

だがジャムパンが無かった

概念、自体が消滅していたのだ

「ジャムパン? 何それ」

店員は言った

おれは胸ぐらを掴み「どっかに隠してるんじゃないだろうな?」と迫った

店員は目を泳がせ要領を得ないことを何か喚いた

おれはジャムパンの存在しない世界へと迷い込んでしまったのだった

「ジャムパンが誕生したら教えてくれ」

そう言って電話番号を書いた紙を渡し店を出た

………

おれは言葉を失った

店の外はジャムパンだった


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