猿色


おれはバナナを持って突っ立っていた

猿がひょこひょこやって来て

おれに皮の剥き方を教えてくれた

その後、奪って逃げた

おれはぼけっと見ていた

何もする気力が起きなかった

猿は人間に進化する途中だったらしく

罪悪感を覚えたのか戻って来た

追い駆けていたら多分そんなことにはならなかっただろう

猿はすまなさそうにおれにバナナを返品した

「すみません」

喋った!

おれは猿からバナナを受け取ると握力の配分を間違えて握り潰してしまい果肉が猿の瞳に直撃した

「うぎゃあああ!」

猿が叫んだ

おれは知的好奇心をくすぐられ笑った


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