あの頃


秒針は

風に吹かれて戻される

なんてやる気の無い時計なのだろう

だが時間も一緒に戻るわけではなく

水色の戦車に吠える犬

眠りに落ちる恋人たち

微笑ましいね

もっと柔らかい材質でこの世界が出来ていたなら

青空の下に

立ち尽くすわたしたちの目の前には白い線があり

そこからはみ出した奴は殺すとの

警告

ここもあの場所と大差ない

狂犬病の毛皮をなめしてそれを常時、着用することによって寒さをはしのげる

親友はつぶらな瞳で信号機を見つめて

僅かな瞬間に現れる青を見逃しはしない

青に変わる前に動悸で死ぬ奴もいる

ぱさついた肉を無表情で頬張る

これでわたしたちも共犯ですねと昨日、出会った奴に声を掛けられる


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