おれの愛が
おれの愛が溺れ死んでいた
部屋の片隅の水槽の底で
「もう生き返らないの?」
きみは尋ねた
医者の卵であるおれにはどうにもならなかった
しかもおれゆで卵だし
問いに頷いた
「ああ」
きみはマフラーをしゅっと巻いて外出禁止の散歩へと出掛けて行った
さよならは言わない
きっとまた会えるから
最後に交わした言葉は覚えていない
きみはいじめっ子によっていじめられっ子にされ南の方の精神病院へと送られるらしい
優しい人間であるという欠陥
ゆで卵であるおれにはどうにも出来ない
おれは一度だけきみの病室に会いに行った
きみは桃をスリッパで踏ん付けていた
考えては駄目なのだ
意味なんて何処にも無いという認識
きみの目は遥か遠くを見据えおれがおれだということもわかっていない
涙は何処かに起き忘れて来てしまった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます