バナナ


バナナがあった

おれはそのバナナを食べようと思った

そうしたらバナナに足が生えて逃げ出した

凄まじい速さだった

新幹線を追い抜いた

新幹線が自殺した

「そりゃあバナナに抜かれたら死にますよ」

同僚の新幹線も納得だった

現実ってこういうことなのかもな

おれは沈沈亭でラーメンを食べた

「ずるー」

バナナは脇目も振らずに自分の故郷を目指して走った

海を渡れずに水死した

おれは思った

最初から生きていなければ死ぬこともなかったのに


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