第11話 次のイベントです

 あれから数日が経過した。


 朝、ハインツは相変わらず下駄箱でレイナを待ち伏せしては、頻りに話し掛けてくる。それを適当にあしらいながら教室に入ると、今度はクレアが話し掛けてくる。それにも適当に相手しながら、二人からのお昼のお誘いを丁重に断る。


 その繰り返しで、いい加減レイナも疲れてきた。だから今日からは遅刻ギリギリで滑り込むことにした。


「お嬢様、そろそろ行かないと遅刻です!」


 御者の焦った声が馬車内に響く。


「ありがと。行ってくる」


 遅刻ギリギリで下駄箱に駆け込む。さすがにハインツは居ないだろうと思ったら、


「レイナ、おはよう。今日は遅かったね。寝坊でもした?」


「...えぇ、まぁ...」


 適当に相槌を打って教室に急ぐ。


 (なんなのコイツ!? なにがしたいの!? ここまで粘着質だとさすがに引くんだけど!?)


 レイナの受難は続く。

 


◇◇◇



「という訳で、来週に迫った校外学習の班決めをしておくこと。一班の定員は五人までなんで注意するように。以上」


 そう言って担任教師は朝のHRを終えた。


 (校外学習かぁ。そういやそんなイベントあったっけ。要は林間学校みたいなもんで、二泊三日の旅なんだよね。その間、乗馬したりボート乗ったり色々あるけど、メインは二日目の昼、みんなで力を合わせてカレーを作るところだったっけ。なんで異世界にカレーがあるのかは置いといて、初めての料理でみんなが苦戦している中、平民出身のヒロインが見事な料理の腕前を発揮して、攻略対象の胃袋をガッチリ掴むんだよね)

 

 レイナがそんな風に回想している間、クラスでは仲の良い者同士が次々と班を結成していく。さて自分もと思ったレイナはそこでハタと気付く。取り巻きズはまだ停学中だということを。


 (えっ!? ヤバい! もしかして私ぼっち!?)


 レイナは焦った。もうクラス中の班はほとんど決まりつつある。残っているのは...


「レイナ様、よろしければ私と班を組んで頂けませんか?」


「え、えぇ、よろしくお願い致します。クレア様...」


「レイナ様、私は平民ですので、どうぞクレアとお呼び下さい。敬語も無しでお願いします」


「......」


 最悪だ! と、レイナが思ったのも束の間。今度は...


「あれ? 君達は二人だけ? 良かったら俺達と一緒に組まない? こっちは三人だからちょうどいいでしょ?」


 ハインツが自分の取り巻き二人を連れてやって来た。


「まぁ、そうなんですか。私は構いませんが、クレア様は如何でしょうか?」


「えぇまぁ、いいんじゃないでしょうか...」


 ど~してこうなったぁ~!?

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