第121話 エリザベータ

 クラウスは普通に片手剣と盾を持っていた。

 俺はクラウスの前に棍を手にして立った。

 先ずは敵との距離を遠目で戦闘を開始する。

 1.8m程の棍を1/3の位置で持ち、前面に左側を向けて突く。

 接近してくる敵を距離を取って突いたり、振ったりして捌く。

 相手の攻撃を避けたりして、受けたりはせずにその前に攻撃することを目指す。

 先ずは遠距離での接近戦の戦い方を身に叩き込む。

 とは言え、残念ながら次は無い。

 騎士団相手では、ナイフや格闘、トンファーの相手をするような接近戦は必要無いだろう。

 相手との距離を変えないことに重点を置き立ち回る。

 う~ん、クラウスは大した腕の騎士団員ではないな。

 魔法を封印された状況で棍で封殺できてしまった。


「う~ん、もう少し強い方がいいか?」

 辺境伯はそう言うと別の人を送り込んできた。

「バルター、こいつの相手をしてやってくれ」

 俺はクラウスに『回復ヒール』を掛けてありがとうと言って握手を求めた。

 そして辺境伯に呼ばれたバルターがやって来る。

 バルターはクラウスより一回り体が大きく、持っているのもグレートソードという大きな両手剣だ。

 グレートソードとなれば長くした棍とレンジはそう変わらない。

 むしろ半歩前に出て距離を短くすれば相手の攻撃のほとんどを無効化できるかもしれない。

 当然、それだけで守れるものではないが……

 実際の戦闘となれば魔法で……とかの方法は別機会に練らないといけないな。


 バルターとは距離に注意して立ち会った。

 超短距離での攻撃の回数と距離による打撃の変化にこだわってみた。

 相手の攻撃を近づいて受けることで受けるダメージを無視できるようにしてる。

 まぁ、実際の戦闘では無理なんだろうが、木剣ならではのダメージを消せる方法は確かに有効だった。

 但し、あくまでこの場でのケースだが、真剣だったら力で突き放すことも出来るだろうし……

回復ヒール

 ほぼ一方的にボコっていたが、ヒールして終了かな?と思っていたんだが……

「バルターよりも上か……マルクス相手してやってくれ」

「えっ?私がですか?」

 そう言う人の方を見るとマルクスと呼ばれた人は中肉中背。

 右手に片手剣、左手で盾を構えていた。

 ある意味騎士団の標準的な装備だ。

 印象はごく普通の人だ。

 だがそれではこの場面で呼ばれはしないだろう。

 力が人より強いのか、速いのか……

 ……後者だった。

 2回攻撃を受けた。

 まぁ、相手には5回当てたけどね。


「う~ん、マルクスよりも上か……今日はパイロンは……出先か……」

 騎士団長(?)は外出しているみたいだ。

「今日はここまでにしよう」


 屋敷に戻ってエリザベータさんと辺境伯を交えて最後の話し合いだ。


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