第116話 ギルビット2日目朝

「おはよう」

 目を覚ましたテレーゼに挨拶をする。

「お、おはよう……ございます」

 布団の中に顔を隠してしまう。

「テレーゼ、話を聞いて欲しい」

 そう聞いてテレーゼはヒョコッと顔を出す。

 何この可愛い生き物。

「ベルナリアが王都の学校に行くことになったが君はどうなる?」

「私は多分、ベルナリアお嬢様の護衛の任を解かれて、領主様の手兵の一人になると思います」

「じゃぁ、俺たちの仲間に、『世界樹の若枝ヤングブランチオブユグドラシル』に入らないか?」

 俺は首を振ると訂正した。

「いや、これは俺の問題だな。俺の嫁さんの一人として『世界樹の若枝ヤングブランチオブユグドラシル』に来て欲しい」

 テレーゼは布団から半分だけ顔を出したまま、ビクンと跳ねた。


「ちょっとまったあ~」

 フランから物言いがついた。

「私たち、まだ言われてないんだけど?」

 あ、ルリを巻き込んだ。

「仲間に誘うのは問題ないわ」

 フランが挑みかかるようににらむ。 

「でもそれ以上の事をするなら順番が意味を持つかもしれないでしょ?」

 そこでちょっと訂正する。

「いえ、持つのよ。むしろ持たせろって話よ」

 うんうんと、頷く。

「私は貴方が3人や5人、その程度の数の女じゃ満足しない事は解ってるわ。でも私にもプライドがあるのよ」

 呼吸音が聞こえそうな程吸い込む。

「私と1番最初に出会ったのなら、1番最初に私に求婚しなさいよ!」

 そう言うとフランは周囲を睥睨へいげいした。

 言われて俺は自分の非を認めた。


 俺は改めてフランに求婚した。

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