第108話 テサーラの雰囲気

 夕方、皆で牧場にマルケスを迎えに行く。

 置いてきぼりにされて腐ってるかと思いきや意外とBBQに満足してた。

 ボロウィンさんにお礼を言って馬と一緒にゲートをくぐる。

 更にゲートをテサーラ郊外に開いて倉庫から馬車を出して馬とつなぐ。

 テサーラの街に西側から近づいてんだが……

「何かざわついてない?」

 道行く人の話を聞くと街の東で盗賊共がでたらしい。

 勿論、テサーラの街の付近という訳ではない。

 どちらかと言えばノーラタンやフランと出会った場所の方が近いかもしれない。

 ふとフランの方を見る。

 何か視線を逸らされた?

 どうも落ち着かない様子だ。

「取り敢えず街に入りましょう」

 テサーラの街に王都の側、西門から入った。

 街の様子は何かピリピリしてる。

 俺たちの馬車はその中を静かに通り過ぎていく。


 昨日予約を取った宿に着いた。

 馬車から馬を外し、馬とマルケスは馬房へ

 残りは宿へ。

 だが、フランをスケルトンを護衛に残し、俺はルリとギルドに向かう。

 情報を集めないと判断を間違えかねないからな。


 ギルドに入ると街中よりピリピリしてる。

 情報板、依頼板等も賑わっている。


「ん?ユウキじゃないか?王都へ行ったんじゃないか?」

 あ~ギルド長に見付かったか。

「帰りですよ、王都からの護衛任務でノーラタンまで」

 ギルド長に冒険者カードを渡す。

 受付カウンターで確認したのか特に何もなくカードを返してくる。

「ノーラタンか……まあ大丈夫だろう」

 意味深な態度だな。

「何かあるのか?ノーラタンに」

「別にノーラタンに何かあった訳じゃない。ノーラタンの近くの村が二つ、盗賊にやられたらしくてな。全員殺されていたらしい」

 痛ましいというのを全身で表現するとこうなる……というギルド長のお姿だ。

「ギルド長?盗賊って殺しても罪には問われないんっすよね」

「……まあそうだな」

 ギルド長は俺の真意を探ろうとするように慎重に答えた。

「ギルド長はあれっすか?ギルド長の奥さんと子供さんを殺した奴が、ギルド長までを殺そうとしたところに俺が来たとするじゃないですか、そしたら俺の死体を使ってでもアイツを殺せって言うタイプっすか?」

「……もし死体になったらな……」

「じゃあ予約入れときますね。ぜってえ敵は討ちますから」

「ぬかせ!」

 俺は手を軽く振ってギルド長と別れた。


 受付に盗賊退治のルールについて確認した。

 特に俺がネクロマンサーだという事で起こりうる問題は大丈夫なのかと言うところ、死体関係の問題が起こらないように打ち合わせた。

 じゃあ、ノーラタン行ったら盗賊退治だ。

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