第103話 会議は踊る、更に歌って跳ねる


「で、明日の予定なんですけど、ノーラタンの到着は明日の夕方でいいですか?」

「……」

「……」

タチアナさん、テサーラ、ベルナリアの3人が顔を見合わせる。

「ノーラタンの前に、テサーラに足跡を残さないとまずいとかあれば……」

「……ユウキ君は今、どこにゲートを開けるの?」

 3人を代表してと言う感じでタチアナさんから質問が来る。

「今ですか?今なら王都の外、王都の宿屋の部屋、このグリンウェル辺境伯邸の門の外、王都郊外の牧場、海都ギルビットの外、交易都市サイダルの外、領都グリンウェルの外、テサーラの外、ノーラタンの外、エメロンの外、バリーモアの外、ギルビット付近の漁村、プライベートビーチ、王都の南の森」

「プ、プライベート、ビーチ……」

 なんかベルナリアから洩れて出た。

「季節的にプライベートビーチはどうかと思いますが、サイダルやギルビットでお買い物とかなら可能ですね」

「タ、タチアナ!?」

「はい、お嬢様!」

「出発を1日延ばします。明日は朝からサイダル、明後日はギルビット、で明後日の夕方にテサーラに泊まります」

「あの、ちょっとよろしいですか?」

 ベルナリアが何?と言う感じで目を止める。

「それなら出発を変えずに明日の朝からサイダルの買い物で、明日の夕方テサーラに泊まって、明後日、明々後日ギルビットで買い物を楽しんで明々後日夕方にノーラタンに到着って事も出来ますが……」

 タチアナさんが指折り数えて間違っていない事を確認して頷く。

 テサーラからノーラタンまで別に歩く必要はないのだという事に気付いたようだ。

 だがここでフランから反応が……意外と早かったな。

「ちょっと失礼」

 そう言って宿屋の部屋にゲートを開いて通る。

 『浄化クレンズ』『消臭デオドライズ

 ん?何かフランの下腹部が光ったような?

 気のせいか?

「次の任務、ベルナリアの護衛任務の打合せ中だ。フランも参加するか?」

「ん~、食事は?」

「打合せが終わり次第だろうな。どうする?」

「分った、参加する」

 フランはゲートを通った。

 いくつかの声がフランを迎えた。

 俺が通るとゲートは閉じる。

「俺たちの参加人数は以上3人だ」

 タチアナさんは頷いて答える。

「任務の護衛対象は前回同様、お嬢様、私、テサーラ、馭者のマルケス、と馬2頭と馬車よ」

 ここからフランに対しての説明を含んで話す。

「明日朝、俺はサイダルの街中からこの屋敷の門の外にゲートを開く、明日はサイダルで買い物をしてテサーラに移動して宿泊。明後日朝はテサーラを出発。街を離れたら俺はそこからギルビットの街の外にゲートで移動して、ギルビットの街の中からテサーラの街の外にゲートを開いてその日はギルビットに宿泊。明々後日はそのままギルビットで買い物、夕方にノーラタンにゲートを開いて領主邸にて解散という予定でいいか?」

「その日ユウキさん達は領主邸に部屋を2室用意しますので宿泊してください」

「2室?」

「2部屋用意します」

 どういう意味だろう。

『嬌声を響かせる事はならん』と言う意味だろうか?

 まあいいか。

「それじゃあ、これからテサーラとギルビットの宿に予約を入れてくるよ」

 俺が席を立つ所に待ったがかかる。

「昼食を用意させるから食べていけば?急ぎの用事は無いんでしょう?」

 俺たちはその言葉に甘えることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る