第102話 王都辺境伯邸の会談

 さてと、ベルナリアの所へ行くなら貴族街に行かないと。

 一度宿に戻って借りている部屋からゲートを貴族街に開いて抜ける。

 うん、貴族街は今日も静かだ。


 王都のグリンウェル辺境伯邸の門で誰何すいかを受ける。

「私はDランク冒険者、世界樹の若枝のユウキと申します。ベルナリア様の護衛任務を受けましたので打ち合わせにお伺いいたしました」

 門番は中にお伺いを立てると、あまり時間を掛けずに招き入れてくれた。


 ルリと玄関に入ると相変わらず立派で豪華だ。

 あの壺なんて何百万Gなんだ?ってのが転がってる。

 あの壁の立派な紳士は誰?

 あの貴婦人は?

 まぁ知ろうとすれば多分鑑定で調べれると思うけど、知らない方が幸せな気がする。


 邸宅からしたら小さな方だと思う。

 40畳位の応接室?に通されて待つこと少々、タチアナさんとベルナリアとテレーゼが入ってきた。

 特にベルナルアの髪型は縦ロールがバッチリ決まっていた。


「護衛任務を受けさせていただく事が決まりました、ユウキです」

「もう、ユウキ君固い」

 タチアナさんから突っ込みが入る。

 ちょっとルリを放置しすぎている。

 皆をパーティに入れてしまおう。

「ちょっと失礼します」

 パーティにタチアナとテレーゼを入れる。

 ベルナリアはパーティに入れっぱなしだったからこれでこの場は全員会話が分かる。

「そうは申しますがここは辺境伯様のお屋敷じゃあないですか。私だって固くもなりますよ、あの花瓶なんて50万Gはしますよ」

「へぇ、よく知ってるのね。ロミシャンの花瓶なんて」

 タチアナさんの話してる言葉が解るようになったルリがピクリと反応する。

「それでこの子の紹介はいつしてくれるのかしら?」

 自己紹介でも始めようというのか、一歩前に出ようとするのを制すると代わりに紹介してやった。

 たっぷり余計な事を交えて。

「この子はルリ、この王都の奴隷商に格安の値段で並んでいたんだ。西の方の島国の出身だがそこで遭難してしまったらしくて、こっちの商人の船に助けられたのはいいんだが、こっちの国の言葉が理解できないらしくて途方に暮れていたんだ。奴隷商も困っていたんだが俺が話しかけたら俺の言う事だけは理解できたみたいで、ボンキュッボンも目指すしエッチもバンバンするって言ってくれたんで、それじゃあって購入して昨日初めても済ませた。16歳だ」

 俺の紹介に四者四葉な反応。

 皆、微妙な顔だ。

「それはひどい、大変な目にあったんだねぇ」

 いつの間にかタチアナさんは机の向こう側からこっち側に移動してルリを抱きしめていた。

「あれ?これ俺責められてない?俺が買わなければ鉱山労働まっしぐらの危機的状況だったのを救ったんだけど……」

「初めてがこの男だなんて……この小さな身体に神はどれ程の過酷な試練をお与えになられるのか」

「タチアナさん、ヒールを習得して信仰に目覚めちゃったの?」

 ちょっと暴走したけどルリの紹介は済んだ。

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