第98話 衣装屋にて
さて、磯へ出したスケルトン達を回収しに行こうか。
フラン達にどうするか聞いたらギルビットでの買い物を続けたいとの要望が出た。
勿論許可してお金を渡した。
ルリはまだ共有資金からの貸し出しだが。
秘密のプライベートビーチに行くと多くのスケルトンが待機状態でしゃがんでいた。
ワカメが垂れ下がったままは止めよう。
スケルトン達から魚介の収穫物を受け取る。
先日の軽く数倍ほどになった。
何回か海鮮BBQができるだろう。
倉庫に収納できる分はして、できない分はドレインタッチして収納した。
昆布とワカメはお日様の下で乾燥させる。
それと赤紫のこれは……テングサじゃないか?
これも干そう。
異物を取り除くのは浄化でできるのか?
乾燥だけなら『
そうやってテングサは確保した。
ワカメと昆布は天日干ししてしばらく放置しないといけない。
スケルトン達は昆布なんかを並べたら、6体を残して回収し別の作業をしてもらおう。
さてやって来たのは先日、木を伐りすぎて森を消しちゃった所。
しばらくここで植林作業に従事していただきます。
と言っても地面から生えてる苗にお日様が当たるように植えなおしたり、ちょっと枝を伐り落として日を当てるようにしてやる、それくらいしかできないが。
どんぐりなんかがあればちょっと間隔を考えて植えたりもした。
その作業自体は1時間ほどで済んだので、その後『
最近、雨降ってなかったからなぁ……
夕日が大分傾いてきたな。
スケさんを22体回収。
さっきの磯に戻って、昆布、ワカメと見張りのスケさんを6体回収。
(ピロリン♪)
今朝の漁師のガズのレベルが上がったので、乾燥、水作成、冷却、加熱を付ける。
レイヴェル村に行き、ガズさんに使い方を教えて18,000Gを回収する。
「あんたの息子が10歳になったら連絡しなよ。特別に魔法を使えるようにしてやるからな。またお値打ちにな」
俺は口の前で『シーっ』っと指を立てた。
「これ、他の人には内緒だぜ」
そう言って村を去ってギルビットに戻った。
コンソールのマップで確認すると、フランとルリは洋服屋さんにいるようだ。
店に飾ってあるたくさんの服を眺めたりしている。
ほら、あのドイツの民族衣装みたいな、ウエストで左右のベルトを紐でグッと引き締めてバストは寄せて上げる感じの……
いい、なんて言うかすごくいい。
何度でも言おう、あれはいい物だ。
「フランならもう少し明るい色でも似あうと思うぞ」
さりげない言葉を掛けながらフランと店員の会話に入り込む。
「この若草色したスカートの……それそれ、それなんかいいんじゃないか?このブラウスと組み合わせたら、うんっどうだ?」
「まぁ~、きっと素敵ですわ~」
店員の合いの手が入る。
この店員、中々やるな。
「店員さん、試着とかできますか?」
この世界の普通は知らないが、この店には一室のみだが試着室があることがわかっていた。
「えっ、ええ出来ますわ。さあこちらへどうぞ」
店員はフランを連れて行った。
ルリはッ?と見回すと店の入り口付近で服を何気なく眺めている。
見慣れない衣装を見ても、それが自分に何をもたらすのか解っていないようだ。
「フランもまだ正常な状態になったわけでは無いから、許してやってくれ」
「えっ?」
ルリは俺が近くにいることに気付いていなかったようだ。
「フランは住んでいた村を魔物に襲われて、おばさんと恋人を無くしてちょうど1月が経ったばかりなんだ」
「……そうだったんですか……」
「正確にはおばさんと婚約者は消息不明だがな……」
「……」
「ルリは着飾って見せるのが俺だけじゃあ不満か?」
俺は飾られた衣服を手に取って、ルリにあてがって言う。
「結構、藤色なんかが似合う気がするんだが……この国の服にはあまり藤色は無いなぁ」
「藤色って……」
「俺の言葉はそのままでは誰の心にも届かない。この世界には誰も俺の言葉を知らないんだ」
「……」
「ルリの言葉をこの国では翻訳されて知ることができるのは、俺とフランの二人だが、この翻訳は本当に正しいのかな?」
「……」
「俺の言葉では藤色ってのは薄い、淡い紫色という色なんだが、同じ意味で伝わっているんだろうか?」
「……」
「俺の国の言葉はその世界で最難関の言葉で『自分さぁ』って相手の事言ってたりするんだぜ?信じられないだろう?」
「……」
ちょっと意味不明で難しい事を話し込んでしまった。
うん、やっぱりこれだなという服をルリにあてがいながら、
「今ちょっとフランに俺の選んだ衣装着てもらってんだ。フランが終わったらルリはこれを試してくれ」
「お客様~っ」
店員さんが俺を探す声がする。
俺はルリを促しフランの代わりに試着室に入ってもらい、フランの衣装をべた褒めしながらルリの衣装も俺の費用で決済した。
1800Gだった。
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