第97話 これが異世界?

 ルリに案内されていった店は中規模の店舗で、小売りもおろしもやるようだ。

 一般市民も商人風の人も店内で見かけたのでそうなのだろう。

 いわゆる業務用スーパーのような物だろうか。

 店の奥の一角に俵に入った米と思われる物が積んである。

 日本で言うと1俵は60kgだが、この世界ではどうなんだろうか?

「すみません、米が欲しいのだが1俵の量は何kgなんですか?」

 店員の話ではこの店では商品が到着後中身をチェックして、量りなおして72kgで統一しているそうだ。

 この店なら大丈夫だろう。

「米を2俵をいただこう」

「はい、まいどあり~」

 店員さんの指示で2俵が運ばれていく。

「他に必要な物はありますかい?」

「そうだな、味噌と醤油はあるかい?」

「ありますよ、じゃあ味噌からでいいですかね」

 店員さんに連れられて、店の中央付近に移動した。


「うちの味噌は船で来る間に熟成させてるんでさ~。赤にします?白にします?」

「味見は可能か?」

「勿論できますよ」

 店員がそれぞれを小皿にとって持ってこさせた。

 両方の味を試したが向こうの感覚で使えそうだった。

「うん、旨い。赤と白を10kgずつください」

 ちょっと気になったんだが赤、白それぞれの味噌の隣に赤と白のカボチャのような物が置いてある。

 何だろうと思ってそのカボチャを見ていたら……いつものように鑑定が働く。

「このカボチャのような物が味噌の原料だと……」

 ちょっと意外な事が分ったのだが、ここが異世界だと思い出した。

 店員の指示で小さな樽が二つ店を走った。

「じゃあ次は醤油ですね」

 そう言うと店員は俺たちを醤油の所へと案内する。

 といってもすぐ隣だった。

 すると小皿で醤油が出てきた。

「ありがとう」と店員に言って受け取る。

 さとい奴は嫌いじゃない。

「旨いな」

 向こうとほぼ変わらない感じで使えるだろう。

 でこのトマトみたいなナスみたいな野菜が醤油の原料なのか?

 まあ、醤油もか~って感じだな。

「醤油も20L下さい」


 醤油の近くにいるといい匂いが……

 ここは港町、魚介類も豊富に獲れる。

 そうすると腐敗防止に煮込むでしょ。

「これは……佃煮か?」

 その言葉が聞こえたのか、店員がご飯とスプーンを持ってきた。

「チクショウ、俺はこういう聡い奴は大好きたよ」

 俺は試食と言うには少し多い量の佃煮をいただいた。

 まあその分、充分な量を買わせていただいたが。

 シジミ、モロコ、いかなごのくぎ煮で合わせて6kg位買った。

 他にも茶や紅茶、海苔等も手に入れた。

 酒もあるじゃん。勿論買った。


 米の種籾たねもみと味噌と醤油の種も注文しておいた。

 今度ルシエンに行った時に仕入れてくれるそうだ。

 次回の楽しみができた。


 昼食よりもよく食べた気がする。

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