第96話 街中で
村長さんと別れてから俺は昨日と同じ海岸に向かった。
昨日は伊勢海老や貝類だけだったが、今日は昆布やワカメなどの海藻類も手に入れてしまおうと思ったのだ。
しかも今日は数を増やして残りのスケルトン28体を全投入することに決めた。
ブーツだけ着けたスケルトン達が海に入っていく。
ちょっと切ない光景だ。
俺はその光景を見送った後ギルビットに向かった。
街に着くと俺はフランとルリに念話で連絡を取った。
『フラン、ルリ、昼食は済んだか?』
時間はもうすぐ13時になろうという時間だ、済んでいてもおかしくない。
寧ろ朝の事を考えたら朝食と昼食込みで、1食終わっているかなと思ったんだが……
『まだ昼食は取っていません』
フランから返答があった。
『では街中央の噴水の所で落ち合おう』
この世界にも大きな街の中央には、広場と噴水が設置されている。
『わかりました』
簡潔にそう返答が返ってきた。
街の中央というよりかなり海岸線沿いと言ったところにこの街の噴水はあった。
噴水からは海に向かってメインストリートが続いて華やかな装飾を施された店々が、更にその向こうには船舶のマストが林立しているのが見てとれる。
店々の周りには店の売り子や給仕の女の子が可愛らしい様子でヒラヒラと舞っている。
この街はラテンアメリカな雰囲気を持たせているようだ。
二人は噴水のふちに腰かけて待っていた。
二人が俺を見つけて駆け寄ってくる。
ルリが軽やかに、フランは粛々と……
ルリは一歩手前で立ち止まり、しかしフランは止まらなかった。
ボリュームのあるボディが腕の中に……
こんな事は初めてじゃないか?
フランが人前で甘えてくるなんで……
何かあったのか?とルリを見るが首を傾げるだけだった。
取り敢えず軽く抱きしめてキスを返した、フレンチで。
ついでで悪いがルリにもキスをする、フレンチを。
「じゃあどこで昼食にするか……あそこでいいか?」
俺が噴水広場の角の店を提案すると、否やはないようだ。
魚介類を焼いて出してくれるとの事で、浜焼きとか残酷焼きとか言う料理が自慢の料理屋だった。
味はシンプルながら具材の鮮度がいい。
二人も美味しそうにかぶりついている。
微笑ましい光景だ。
特にルリはまだ体が痩せすぎているので、頑張って食べてもらう為に注文を増やしてもらう。
もうちょっとルリには身体に丸みが欲しい。
実に個人的な望みだが……
「それで、米とか見つかった?」
「はいっ、ルシエンとの取引のある商人さんがいました」
「じゃあ案内してくれ」
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