第88話 王都での一日1
昨晩、寝るのが早かったため、朝目覚めるのも早かった。
通常なら朝の訓練をするところだが、ちょっと趣向を変えて薪割りでもしてみるかとまだ寝ている二人を置き去りにした。
宿屋の部屋にゲートの出口を設定。
王都の街の外のゲートに宿屋の部屋から移動した後、ちょっと王都から離れた所にある林を目指す。
で、この場所に王都の宿屋の部屋へのゲートを作成しておけば、ルリはともかくフランには俺がゲートの先に居ることは解るだろう。
充分に王都から離れた林の奥で部屋へのゲートを開く。
これで準備は完了かな。
倉庫から斧を取り出す。
ついでにスケルトンにも手伝わせるか。
倉庫から2ユニット、12体のスケルトンを取り出してそれぞれに役割を与える。
お前は木を切り倒す係、お前は枝を掃う係、お前達は木を運ぶ係……
倉庫から適当なアックス系の武器をスケルトンに持たせて働いてもらう。
勿論、フランとルリだ。
「おはよう、二人とも」
「「おはようございます」」
フランは兎も角、ルリは周囲を動くスケルトンに
そこで流石の俺も気が付いた。
俺が冒険者だとは説明したが、俺の
「あ~、悪い。ルリには話して無かったな。俺はネクロマンサーなんだ」
そう言えばレベル20になって、カースしか取っていなかった。
丁度いいので『
倉庫から生贄用に猿の遺体を取り出してスケルトンを召喚する。
使って解ったが、召喚できるアンデッドの種類が増えてた。
「これからもちょくちょく戦いの場には登場すると思うんで、よろしくしてやってくれ」
ついでにフレンドリーファイア防止機能も説明しようと思い、先程召喚したスケルトンにそのまま俺に背後からの突きを指示する。
「お、おぉ!?」
「キャー!!」
ルリが俺の胸から生える剣に悲鳴を上げる。
フランが俺の頭を
「あなたは何をしてるんですか?」
あっ、これはあかんやつだ。
「ルリにフレンドリーファイア防止機能を知ってもらう為にやったんだが……失敗だったな」
ルリがまことちゃんの劇画調のような顔で俺を見ている事で失敗を悟った。
「申し訳ない。実際どんな物かを知ってもらった方がいいかと思ったんだ」
スケルトンに剣を引いてもらって服を
「この通り傷は付いてないだろ?これがフレンドリーファイア防止機能だ」
ルリが顔を赤くして指の間からチラ見してくる。
「この機能のお陰で仲間同士で傷を作らなくて済む。仲間以外の奴がいる時には気を付けろ」
ルリはチラ見のままコクコクと頷いた。
「そろそろ朝食にするか」
俺は召喚したスケルトン1体を倉庫に入れて、2ユニットを継続して働かせたままフランとルリとゲートを
俺は朝食を済ませると、フランの昨日買った調合道具と材料一式を部屋に出して宿を出た。
体調が心配なルリはお留守番である。
まず向かったのは野菜などの露店が並ぶ中央広場である。
俺に関して言えばぶっちゃけ倉庫の時間経過が無いので、旬に一年分買ってしまってもいい。
流石にお店にその用意は無いだろうから、支障が無い部分だけ売ってもらおう。
秋に旬を迎える野菜と言えば、キノコ類やイモ類、にんじんや玉ねぎ等が代表だ。
まぁ、この世界の農業を考えると促成栽培や抑制栽培をしているとも思えないから、売っている物はほぼ旬なのだろう。
向こうの世界みたいにいつでもいろいろな野菜が買えるというのが異常なのだ。
そう考えると、夏野菜を買っておかなかったことが微妙に痛い。
トマト、ピーマン、トウモロコシ、ニンニク……
そう考えると果物も海産物も旬があるんだよな。
この国は南側が海に面している。
……行くか?
今日たどり着いて、明日の朝に買いに行く。
仕入れ先の漁村なんか見つけておくと良いかもしれん。
季節の魚や海藻、貝、エビ、カニ、そして塩。
今ならサンマとか獲れるのだろうか。
カツオと昆布もこの季節だった。
途中で牧場も探しておいて買いに行くのもいい。とってもいい。
一度にたくさんってのは難しいだろうが、
牛乳や卵、チーズやバター等の乳製品の入手先を決めておくことは悪い事じゃない。
この広場で買える物を買って、牛乳等を入れる樽を買う。
パンの購入の交渉と小麦粉の交渉。
肉と肉製品を買ったら薪を作っているスケルトン達の回収。
南の漁村を探して海産物の交渉。王都に帰ってきたら広場から牧場に帰る人を見つけて交渉して牧場まで一緒に連れてってもらう。
明日の朝に漁村と牧場、パン屋を訪れて買い物を終わらせる。
その予定で動く。
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