第87話 ルリ初めての夜?
まだ宿に帰るのは早い時間だ。
冒険者ギルドを出て次にやるべきだと思ったのは、ルリの装備を整える事だった。
まず、武器は薙刀との事だが、この国だとグレイブって事になるだろうか?
「ルリ、武器を探そう。この国に薙刀は無いが、グレイブの中で似たような物ならこの国で探せると思う」
流石王都だけあって、沢山の武器屋が軒を連ねている。
その王都の武器屋をしても、剣の専門店はあってもグレイブの専門店は無いようだ。
むしろグレイブを扱ってない店の方が多いくらいだ。
店内のグレイブをルリの体で振り回せる物をと思って選別を手伝っていると、ルリが選んで迷っている物は
本人に確認すると、
「大丈夫です」
と、威勢のいい返答が返ってきた。
まぁ、こればかりは実際に戦闘してみない事には俺には判らないからな。
いろいろな店を梯子して何とか4件目にして気に入ったものを見つけたが、柄の部分に改良が必要だとルリは言う。
店主に相談したら日にちが掛かるが可能との事だった。
柄の改良に何日掛かるか尋ねたら3日間くれとの事だった。
3日間だったら丁度出発の前日に取りに行ける。
それで大丈夫だと返答し、半金の支払いを済ませる。
因みに費用は全部で1万2千Gだった。
勿論ルリはお金を持っていないので、パーティ費用から立て替える。
後はルリの衣装、個人の装備、パーティの装備の追加を買う。
パーティの装備の追加とは、ルリ用の食器とか毛布の事だ。
増えたのはルリだけだが倉庫に入れておけば邪魔にはならないので、今後も増えるだろうからと6人分増やしてしまう。
宿屋に戻って女将に宿泊人数が一人増える事を告げて追加の支払いをする。
部屋でルリの武器以外の装備を倉庫の中から見繕う。
基本は動きを阻害しない事と生き残る事を優先して装備を考える。
この世界の装備は身に着ける者の
俺が身に着けると黒く、また禍々しくなる。
ルリが身に着けると白くポイントが赤く、清らかさが出てくる。
何故だ?納得がいかない。
俺が白い衣装や可愛い衣装を着たりしてもいいと思うのだが……
装備は動きを阻害しない物の中からHPが上がる物、回復力が上がる物、防御力が高い物を組み合わせて選ぶ。
ルリに装備させて見ると……
「巫女の修験者?」
「……どうして疑問符なんですか!?」
「なんか違う感が……」
「……」
微妙な顔をされた。
夕食の場でフランとルリとこれからの活動計画を話し合う、と言っても二人とも俺の意見を受け入れちゃうのだが……
「取り敢えず次のベルナリアの帰還の依頼までは休むことにして、帰還の依頼の後は少しエメロンのダンジョンに籠ろうと思う」
これから季節は冬に向かって寒さを増してゆく。
もしかしたら雪に閉じ込められるかもしれない。
南緯40度は超えているから、その可能性は充分高い。
だったらダンジョンに潜ってしまえば、季節は関係無くね?
春になると、冬の間に繁殖したゴブリンやコボルト、オーク等を駆逐する季節イベントとも言える状況が起こるだろう。
そのころにはダンジョン外に出てこないとな。
明日から食料と薪を集めないと……
食後、ルリが重々しい顔をしている。
緊張しているからなのかと思って声を掛けたら、違った。
始まってしまったらしい、月経と呼ばれる物が。
言いにくくしてしまった。反省。
「気にすることは無い。よく話してくれた」
これで2~3日はお預けである。
くすん。
明日の朝は買い物、その後薪割をどこかでしよう。
フランは今日買っていた道具を使ってポーション作り。
ルリは休養かな。
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