第86話 顔合わせ
フランがいるのは小さい専門店が並んでいる辺り。
ルシエンと行ってみると、確かにフランが大きな荷物を道に置いて佇んでいた。
「フラン、随分買ったな~。どうやって持って帰るつもりだったんだ?」
「あなたが来るって言ったから買い足したのよ?」
どうやら本当のようだ。
大きな荷物の横に小さな荷物が隠れていた。
横でルシエンが頭に大きな疑問符を浮かべている。
「フラン、こいつが新しい仲間だ」
俺はルシエンの頭に手を置いてポンッポンとする。
「名前は……ルリの方がいいか?」
途中からルシエンへの質問になってしまった。
「はい、是非。よろしくお願いしますね、フランさん」
「ルリ、フランだ。冒険者に『さん』はいらない」
「フラン、よろしくお願いします」
「ルリ、よろしくね」
フランとルリが
そんな二人に一石を投じる。
「ルリ、済まないが
フランの買った物を倉庫に入れて、取り敢えず食事が出来る所を探す。
あれ?俺にはグー〇ル先生があったじゃん。
王都、商人街、食事、評判のいいで調べる。
おぉ、出てくる出てくる。
俺はその中で近くにある一件、丁度大通りに出た所にある店、『オレンジの
……食堂で躊躇いはどうよ。
「先程の私が話が通じるのがお二人だというのはどういう事でしょう?」
当然ルリはメニューを読めないので、俺たちが代わりに注文した。
「俺とルリの話が通じるのは俺の魔法の影響だって話しただろ。その魔法の影響範囲が俺のパーティメンバーまでなんだ。だからフラン、なるべくフォローしてやってくれ」
俺はルリの置かれた状況とフランの事情をそれぞれに話して聞かせる。
「それで奴隷になってこんな所まで……」
「村ごとモンスターに……」
そこで気になってしまったのだろう。
フランがそっと声を潜めて耳打ちしてきた。
「それでユウキ、この娘アッチの方は大丈夫なの?」
「ん?アッチの方というのは冒険者の方の事か?それとも……セッ〇スの方か?」
勿論、わざと口に出して言っている。
フランは周りの目が気になるのか、周りをチラチラと見ている。
ルリは自分のセッ〇スの話題だと判ったのか、顔を俯かせて耳まで真っ赤になっている。
『異世界言語』の事を知ってもらう為だ。いい機会だろう。
「フラン、いい機会だから言っておく。俺はこの世界の言葉を話していない」
フランが当惑した表情で俺を見ている。
気付いて無かったようだ。
「俺の言葉はこの世界の言葉に変換されている。必要な人にだけ……な」
よく分からないと思うからちょっとやって見せてみる。
「ちょっと試しにパーティから外すよ……」
コンソールを操作して二人をパーティから外す。
ルリに向かって言う。
「奴隷商の所で言った通り、今夜抱かせてもらうよ」
「本気で私の体をお求めですか?」
俺は頷いてみせた。
ルリは顔を赤くして俯く。
次に俺はフランに向かって言った。
「昨日の夜は凄かったな。今夜もいっぱいしような」
「ちょ!……何、言いだすのよ……」
こりゃあ、ただのセクハラだな。
俺は二人をパーティに入れ直す。
「どうだ?大体解ったか?」
「解ったかって言われても……」
「何が何だか……」
よく解らなかったようだ。
「フランは俺とルリが何話してるか解ったか?」
フランはフルフルと首を振る。
「ルリは俺とフランが何を言っているか解ったか?
「解らなかったです」
やはりルリは首を振る。
「じゃあ今は?」
「「今は解ります」」
お互い顔を見合わせる。
「俺とルリはこの国の言葉を知らないから、聞いている人には解らないだろう。でもパーティに入っている人にも翻訳されるので行動するのに困らない」
ルリが頷いている。
「ただ、パーティの人間が他の人と話してる内容はルリには解らないだろう。そこをフランがフォローしてあげて欲しい」
「解りました」
「それで話を戻すが、大丈夫なのかと聞いたのは冒険者としてか?それとも……」
ここでフランが暴走する。急に立ち上がったと思ったら……
「セッ〇スですよ!〇ックス!その娘は、本当に、……」
どうやら他の人の視線に気付いたらしい。
握りこぶしを振り上げて力説していた手が、段々下がって力を失っていく。
「まぁ、フラン落ち着いて。ちょっと痩せてるし童顔だけどルリは16歳だし、エッチもバンバンするって言ってるから大丈夫」
ルリは終始恥ずかしそうにしていた。
午後からはみんなで冒険者ギルドへ行った。
ルリの冒険者の登録とパーティの登録、指名依頼が来ていたら受諾と手続きが待っている。
ルリの冒険者登録はすぐに終わった。
読めない文字を読んだり書いたりはあったが、それ以外は血を垂らすだけで手続きが終わってしまうからだ。
パーティへのメンバーの追加も指名依頼の受諾も、時間は
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