第59話 俺にこの手を汚せというのか?(白濁)

 夕方、昼間は止む事の無かった雨はやっと陽が沈むころになって小雨になり野営地に着くころには感じられなくなった。

 陽の反対側にはかなりくっきりした虹が二重にかかっていた。

 空気が現代世界よりきれいなんだろう。

 澄んだ空に七色が映えていた。

 かなり虹には慰められていた。

 先程の事はもう忘れようと思えるくらいには。


 野営地にも泥濘ぬかるんでいる部分はあったが、俺とフランで『乾燥』を掛けてテントの周りは問題ない程度に水たまりなどは消してしまった。


 フランはいつもと同じような感じに見える。

 もしかしたら先程の事は気付いてなかったのかも。

 俺はちょっと安心して薪割りや調理を手伝ったりした。

 護衛のスケルトンはいつものように俺以外の5人に6体ずつと馬2頭に3体ずつ、馬車に1体付けておいた。


 食事が終わり『浄化』、馬の世話として『水作成』『加熱』『浄化』を掛けて上げるともう休もうという話になった。


 俺自身も疲れたのでテントに横になってしばらくすると眠りに落ちて行った……とはならなかった。

 疲れているはずとか体が睡眠を欲しているとか関係ねぇ。

 寧ろ疲れているから尚さら、身体がアレを欲してしまっていた。

 まんじりともせず時間だけが過ぎていく。


 あかん。このままでは朝が来てしまう。

 俺はマルケスに気付かれない様にテントを抜け出すことにした。

 俺は『発光』のいた水晶玉を掴むと入口を開けて外へ出た。

 少し入口の布が音をたてたが、マルケスは鼾を掻いて全然気づいた様子もなくて安心した。


 野営地を抜け木々の間に野営地のテントが見えなくなった。

 周りを見廻し何も異常が無い事を確認すると、俺は大きめの木にもたれ掛るように背中を預け、ズボンからアレを取り出すとアレをアレし始めた。

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