第52話 一般魔法講義
「一般魔法は1レベルに付1つの効果を選べます。一般魔法には10の効果があり、その中には他の魔法の前提魔法になっているものもあります」
一般魔法を取得する人の為の講義を行う事になった。
「その効果はには『
俺の周りを半円形に囲むような形で講義を聞く面々……
ベルナリア、タチアナ、テレーゼ、フランシス……マルケス?!
フランは聞かなくても知ってるでしょってか、マルケスお前もか?!
「わし一人だけ別扱いは寂しい」
分かったからあんたは迫って来るな!
「前提魔法になるものには『発光』は光系の前提魔法なので『
皆、真剣に聞いている。
茶化すなんてできない雰囲気だ……
「冒険者ならまず最初に取得すべきなのが『水作成』だ。これがあるだけで行動範囲が広がる。なんせ水を持ち歩かなくても良くなるからな。この呪文のお陰で命が助かったって話が出るのは一般魔法では『水作成』位だろう」
ここ、テストにでますよ~って感じだな、こりゃあ。
「2番目からはあると便利って魔法になるので自分の役に立ちそうなので選べばいいだろう。候補は『浄化』『発光』『着火』『乾燥』辺りだろう」
そこでタチアナさんの方を見て、
「タチアナさんには『浄化』がお薦めですね。『浄化』は掃除、洗濯、皿洗いから風呂、歯磨き、更には避妊にまで使える万能っぷり。メイドさんには必須でしょう」
タチアナさんは主に最後の使用目的に頬を染めつつ否定しないで頷いた。
カークス=ウェスタ―卿め。あの野郎!
「冒険者にとっても衣装の分の重量を減らせるなどのメリットも大きい。皿洗いも一瞬で終わる」
先程まで使っていた皿やスプーン、鍋などを浄化して見せた。
こんなもんさと言った感じ。
どやぁ。
「『発光』は言うまでも無いが人は暗闇の中では
異世界の知識では説明しきれない部分があるのは仕方が無い。
「『発光』は非常に優れた明かり確保の手段と言えるだろう」
「『着火』は確実に素早く火を作ることが出来る。『乾燥』は雨が降った後に装備一式を乾かしたり、水浴びや風呂の後に体を乾かしたりするのに便利だ。もちろん『浄化』が無ければ洗濯物を乾かしても良い。」
さりげなくスケルトンズに穴を掘らせる。石を運ばせる。
「他の5つは目的が有るのなら取ればいい。『加熱』はお風呂を沸かすのに便利だ。『冷却』は飲み物を冷やしたり、『消臭』は動物から姿を隠す時には匂いも消さないといけないだろう。『望遠』は偵察には使えるぞ。『微風』は……風系魔法の前提と割り切れ!」
因みにフランの一般魔法レベルは5。
使える効果は『水作成』『浄化』『発光』『乾燥』『加熱』
ウィッチとしてポーション作成していたのが分かる納得のラインナップだ。
スケルトンズが作っていたのは湯舟、露天風呂だ。
出来上がった湯舟に向かって立て続けに一般魔法を放つ。
『
『発光』は適当な石に掛けて湯に沈めた。
風呂のシーンには謎の光が必要だろう?
良い湯加減の露天風呂が完成した所で女性陣に明け渡す。
俺はおっちゃんの肩を抱いて離れた場所に連れ出す。
……
小一時間後、呼びに来たフランにありがとうを言われた。
いやいや、こちらこそと言いそうになって止めた。
「便利だろう?」
フランが他の女性達と合流した所で皆に向かってそう声を掛ける。
皆から笑顔の返答があった。
「おっちゃん、俺らも入ろうぜ」
湯舟に近づいて魔法を唱えようとしたらおっちゃんに止められた。
おっちゃんの目を見ると力強い頷きが返ってきた。
やばいこいつ上級者だ。
「安心しろ『浄化』じゃなくて『加熱』だ」
おっちゃんから熱い握手が……
いや違う、俺は同志じゃない。
だがおっちゃん、残念だがフランが呼びに来る前、既に『浄化』を唱えたことに気付かなかったかい?
『
少し冷めていた湯を再加熱、適温と思われる温度まで加熱した。
「ふ~っ」
肩まで湯に浸かると思わず口から声が洩れる。
こんな時には自分が日本人だと感じるというか思い知らされるというか……
だがなおっちゃん。あんたは知らないだろうが『望遠』だって役に立つんだぜ。
俺は露天風呂を堪能した。
結果、レベルが上がった。
冗談かと思うだろうがマジだった。
ファンファーレが満天の星空に響き渡った。
……おい!おっちゃん!
さりげなく顔に湯を浴びるふりして湯を飲むな!!
せっかくの雰囲気が台無しじゃないか。もう色々と。
その湯にはおっちゃんと俺のエキスしか入っていないんだ!!!
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