第51話 悩み多き年頃?2
「自分の考えをまとめておくといい。何が許容できなくて、何が妥協できるのか。俺はお前が100%お前の望む様な人生が送れるとは思わない。だから後悔が少なくなるように
そう俺はあの事故の時、美樹が傷つく事を許容できなかった。
だから動いた。飛び込めた。
その事に後悔は無い。
誤算だったのは美樹にとって「美樹の所為で俺の腕が不自由になる」事が許容できない事だった。
俺は後悔しなかったが、美樹には後悔させてしまった。
あの時は自分自身をも守れる力が無かったのが返す返すも残念だった。
「この旅の間なら手伝ってあげられる事もあるかもしれないから、良く考えるように」
そう伝えるとベルナリアは疑問符を頭に浮かべて、
「手伝うって何ができるの?」そう訊ねてきた。
「そうだな~、例えば一般魔法を使えるようになるとか?」
そう言うと聞いていたベルナリア、テレーゼにタチアナまでが驚いた顔で、
「「「えっ?」」」って声を上げていた。
「一般魔法って使えるようになるんですか?」
何故かタチアナさんが両手を前で組んだ体勢で食いついてきた。
俺は余りの食いつきに若干引き気味に、
「おっ、おう。才能の関係もあるから絶対とは言えないが、多分な。試してみる価値はあるよ」
「どんな訓練をするのですか?修行ですか?滝行ですか?」
タチアナさんが手を組んだままの姿勢を崩さずグイグイ来る。
それ以上来ると俺の背骨が悲鳴をって言うか絶叫を上げちゃう。
「落ち着いてください、お願いしますから」
タチアナさんにそう言うと自分の体勢に気付いたようで恥ずかしそうに少し下がって俺の背骨を開放してくれた。
助かった~。
「修行は必要ないかと。レベルアップしたらスキルを設定するだけだし」
「レベルアップ?スキル?設定?」
あ~、ぽっかーんしちゃった。
え~、レベルアップが分からないって?
『サーナリアさん。もしかしてこの世界の人ってレベルアップしないの?』
『いえ、レベルアップはもちろんします。ただ一般の人は告知の為のファンファーレもステータス、スキルを見ることもできませんが』
『余計なことを言っちゃいましたかね』
『とんだ禁則事項バラシ野郎でしたね』
『えっ?サーナリア様?もしかしておこですか?俺、何かしちゃいましたか?』
ウインドウの中の顔が微笑む。
顔は笑顔でも目が笑っていない。
言っちゃダメだったみたいね。ははは……
「ああ、タイミングが合えば一般魔法を使えるようになるかもね」
タチアナさんの目がキラキラしてる。
ですよね。浄化なんて超便利ですもんね。
水作成があれば水汲みが楽になりますもんね。
分かります。
「そうなんですね。ウフフ」
ウフフって言っちゃったよ。リアルでウフフって聞いたの初めてだよ。
「分かりました。タチアナさんは一般魔法希望っと。ベルナリアはどうする?」
「……」
ベルナリアは考え込んでいる。
「そうだったな。考え中だったな」
ベルナリアから顔を背けた所にテレーゼさんの顔が……飛び込んできた。
「いや、貴女は違うでしょう?」
テレーゼがタチアナさんと同じように手を組んで迫ってくる。
「貴女は護衛としての能力を……」
「魔法少女……」
目をキラキラさせて迫ってこないで~!
怖いから……
「分かった。分かりましたから」
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