第15話 テサーラの街を取り巻く状況

 冒険者ギルドから広場に出るとそのまま西へと向かう道を行く。

 街の南には街門は無く、領主の館などの貴人街となっている。

 街は南から北に向かってなだらかな斜面になっており、ちょうど丘の天辺に当たる所に領主の館が建っている。


 テサーラの街は人口約18,000人、中規模の都市である。

 エタナリア王国の東の辺境、グリンウェル辺境伯の領地の中で3番目の規模の街である。

 テサーラの街の東側から南側にかけて充分な流量を湛えたビクタス川に面している。

 街で利用される水の大部分はこの川から引かれて使われている。

 街の東側には波止場が作られている。

 今も何艘かの船が泊まっていて物流の一翼を担っている。

 そのこともあって街の北東側には商館が建ち並んだり、大きな倉庫なども建っている。

 材料の運搬を考えての事なのか職人街も北東側にある。

 人の住まいは北西側が一番多い。

 南東側には衛兵や辺境伯軍の駐留所、練兵場などがある。

 南西側は行政関係の施設がある。

 大きな施設はそんな感じに分かれている。


 グリンウェル辺境伯領は東方を魔人領、北方向をハイエルフが住むというローレリア国に接していて、物流国防の要衝となっている。

 テサーラは辺境伯領の中では最西方に位置している。

 魔人領へは東へ約300km。

 馬車で10日と言ったところだろうか。


 東方の魔人領からは様々なトラブルが舞い込んでくる。

 最近その規模が、頻度が拡大してきているのではないかと言われている。

 曰く、近く魔人の侵攻があるのではないか?

 曰く、魔王が誕生したのではないか?と良くない噂が絶えない。


 先の魔人の大侵攻は約1,800年前、しかし魔人の主力が向かった先はハイエルフの国、ローレリアだった。

 魔王擁する魔人軍の侵攻をハイエルフと勇者パーティとが迎え撃ち、ハイエルフの国王が戦死するという大きな被害を負いながらも撃退、魔王を倒す事ができたと言われている。

 その時、ハイエルフの国の王女と勇者が結ばれたとかなんとか話が続くが正直どうでもいい。


 現時点で魔王の出現は確認できていない。

 出現したとして魔王の拠点、魔王城は魔人領の国境よりはるかに東方にあり、もし確認できた時には既に開戦待った無しの状況になるだろう。

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