第14話 初クエスト受注

 冒険者ギルドの入り口を潜るとたくさんの冒険者が一ヶ所に集まっていた。

 そこがクエストが貼り出されている場所だろう。


 近づくと大きく分けて4か所に集団が分かれている。

 クエストが難易度によって分けられているようだ。

 壁の右からA&B、C、D、E&ニュービーに分けられている。

 A&Bの前にいるのは少数だ。

 AやBランクのパーティが少ないから当然だろう。

 一番パーティが多いのはDランクの前だ。

 ギルドランクによって受けられる難易度に制限がある。

 パーティに所属しているメンバーのランクの一番高い者より一つ上のランクから、メンバーの一番低い者より一つ下のランクまでが受注可能になっている。

 俺はニュービーなのでEランクからニュービーランクまでが受けられる。


 受けるクエストは早い者勝ちで決まってゆく。

 だが所謂おいしいクエスト、ヤバいクエストというのもある。

 命に係わるものなので皆慎重に相談しながら決めているというのが当然だ。


 俺の受けられるE&ニュービーの壁に貼りだされているクエストを閲覧する。


 紙(羊皮紙)が古くなっている物は常に依頼が出ているような採集・収集のクエストだ。

 薬草や食材などは常に需要があるからな。

 新しい紙は今朝貼り出されたものか?

 Eランクまでの仕事なので難易度の高い物は無い。

 精々がお使いやちょっとした護衛任務程度までだろう。

 簡単な討伐任務もあるな。


 今日はギルド長とのアポがあるので夕方までに戻らないといけない。

 意外と受けられる仕事が限られそうだ。

 そんな中で一つのクエストが目を引いた。


『モンスターの死体の収集』ランクE

 期限は本日の夕刻まで。

 モンスターの種類は問わず。(植物系を除く)

 数量4体。

 報酬:2000G

 貢献ポイント:2

 依頼者:冒険者ギルド


「……」

 これってあれだよな。

 俺のスケルトン召喚用だよな。

 これ俺が受けるのってどうなんだろう?

 期限に間に合わないって事も無くなるからいいのか?

 うん、受けてみよう。


 壁から紙を剥がして受付まで持参する。

 受付にはパシリアさんとは別の女性が座っていた。

 名前はエマーリアさん。

 パシリアさんが美人系だとすると、エマーリアさんはかわいい系だろうか。

 俺は顔はパシリアさんの方が好みだけど、どちらかと言えばエマーリアさん推しかも。

 パシリアさん、ドSだし。


 タグと一緒に依頼表を出すと昨日の石板とは違う物の上で何か操作をしていた。

 ……なんかいい。

 女性のほっそりとした指が小気味良く動く姿ってなんかいい。

 パソコンのキーボードとかピアノの鍵盤の上とか。

 俺って指フェチなのかなぁ?


 などと考えていると作業は終わったようだ。

 俺の至福の時間が……

 タグに受注しているクエストとして先程の物が表示されている。


「この街の近くに何かいい狩場はないですか?」

 エマーリアさんに聞いてみる。

「そうですね。最近ですと街の南西の草原地帯に『ワイルドウルフ』の集団が目撃されているようです。そこなんてどうでしょうか?」

 ワイルドウルフって野生の狼?

 普通の狼と何か違うのかな?

「ありがとう。行ってみるよ」

 笑顔を意識してお礼を言ってみた。

「お気をつけて、行ってらっしゃい」

 エマーリアさんも笑顔を返してくれた。

 何かうれしい。


 俺は気分良くカウンターを離れ、冒険者ギルドを出た。

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