第13話 買い物

 広場には露店が所狭しと並んでいた。

 食べ物を売る店。

 日用品を売る店。

 武器を売る店など様々だ。

 活気のあるこんな風景は好きだ。

 お祭りの風景を思い出してしまう。


 昔、美樹と近所の神社のお祭りに行ったなぁ。

 美樹は買ってもらったばかりの浴衣を着て、

「どう?」

 なんて言っておどけてたっけ。

 あいつはりんご飴が好きだったな。

 あと綿菓子も。

 綿菓子を食べるのが勿体ないからってしばらく持ったままにしてしまって、縮んでしまったのを残念がっていたりしたっけ。

 祭りの日のあいつは甘い香りがしてたなぁ。


 あぁ、あいつはもういないんだなぁ……


 露店では日用品を売るマルカと言う人の良さそうなおばちゃんの店で、バケツ位の大きさの桶と金属製のマグカップ、手ぬぐい、背中に背負う布製の丈夫なリュックサックを購入した。

 桶は200G、マグカップは100G、手ぬぐい20G、リュックサックは500Gした。

 現実世界だったらマグカップなら100円ショップで手に入るのに。

 10倍位する。

 物の価値が全然違う。

 実はリュックサックを買ったのだが入れる物が何も無い。

 衣類とか毛布、外套などを手に入れたら入れるのだろうが……何も持っていないからな。


 別の店で黒パン5個(計50G)と串焼きの謎肉5本(計200G)、謎果物5個(50G)、小型のナイフ(200G)を買う。

 食べ物は時空間倉庫に入れておけば腐らないから便利だ。


 手早くそれらの買い物を済ませると冒険者ギルドに入る。

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