第12話 朝の風景
気が付くと部屋の中だった。
まさしく知らない天井だという状況だ。
頭が痛い。
もうすぐ太陽が昇る時間のようだ。
少しづつ西の空が明るくなってきている。
『
ん?
二日酔いのせいでうまく魔法が発動できない!?
これは拙い。
まだ朝明け切らぬ中庭の井戸にて頭から水をかぶるユウキであった。
強引に頭を覚醒させ、真っ当に魔法を使えるようにしようとしたのだが……
『
ザバーッ
「わひゃっ!」
桶に水を入れようとしたら、頭から水を被る始末。
本調子にはもう少し時間が掛かりそうである。
朝の支度を終えて食堂へ降りていくと、ロードトゥグローリィの連中がそろっていた。
実は昨晩の飲食代、二人分にしてはたくさん持ち金が減っていたので、おそらく全員分払ってしまったのではないかと思っているのだが、それに関しては俺の負けである。
文句は飲み会の席で言わなければ意味がない。
金の貸し借り以外は払ってしまったら負けなのである。
曖昧な記憶では初めから負け戦なのだ。
交渉の場での勝利を戦場でひっくり返されたようなものだ。
「よう、酔いは醒めたか?」
トニオがニヤニヤ笑い混じりに声を掛けてくる。
「あまりいい気分じゃないけどね。今日は何をする予定なんですか?」
「ん~、広場の露店で必要な物を買って、ギルドに顔を出してモンスター退治に出かける。そんなところだな」
宿屋の親父が朝食を持ってきてくれた。
礼を言って手を付ける。
朝食は黒パンと野菜スープと燻製した肉、チーズだった。
その内容だと不味くはしようが無いだろう。
……だが何かが足りない。
「なら、今日は俺達と廻らないか?」
リーダーのオルタスから提案があった。
正直有難いんだが、まだ知られたく無い事が多すぎるので一定の距離を保ちたい。
「有難いんだが、買い物に時間が掛かりそうなんだ。もう少し慣れてからにさせてもらうよ」
「そうか、なら仕方ないな」
すぐに引いてくれて良かった。
「それじゃあ、俺たちは行くわ」
「ああ、気を付けてな」
女将に今日も1泊することを告げて夕食、朝食含めて500G支払った。
掃除は入ってくれて構わないと依頼して鍵を預けてピクシーガーデン亭を出た。
朝日が西から昇ってきている。
広場に向かう広い道に出ると既に多くの人が行き交っていた。
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