第10話
翌朝、鈴木は二日酔いで頭痛のする頭を掻きながらコーヒーを入れた。
テーブルに着きコーヒーを飲みながら昨夜の事を思い出していた。
渡辺加代子か・・・
どうして高校時代彼女に気が付かなかったのであろう。アルバム越しの彼女は明らかに美人だ。
俺としたことが・・・
ふと、スマホを取り電話をした。
「もしもし・・・ふぁー・・・」
まだ寝ていたという感じの高橋が応答した。
「おい、高橋か?起きろ。聞きたい事がある」
「なんだ?鈴木か?こんな朝っぱらからなんだよ?」
高橋は明らかに不機嫌そうに言った。
「昨夜の来なかった2人の内の渡辺なんだけど」
「ああ、その事か。なんか判ったのか?」
「いや、それを聞くために電話したんだよ」
「勘弁してくれよこんな朝っぱらからよ」
「同窓会の返信葉書に渡辺の電話番号とか書いてないのか?」
鈴木は単刀直入に質問した。
「無いね。俺も昨夜確認したよ。住所は書いてあるけど電話番号は無い」
「そか。ま、葉書だしそりゃそうだよな」
「おいおい。電話番号なんて聞いてどうすんだよ?まさか連絡とるのか?」
「アルバム見たんだよ、渡辺の。あれはきっと美人になってるぜ。あ、ちなみに吉川ってのは男だったよ」
「ほう。女かと思ってたんだが男か。それは予想外だったぜ」
高橋もだんだん目が覚めてきたのか会話がマトモになってきた。
「じゃあ住所だけでも教えてくれ」
「いや、それはダメだ。モラルの問題だ。幹事の責任においてそれは出来ない」
学級委員だった高橋らしい返答だった。
「なんだよー。何もしねーよ。頼むよ」
「無理だね。また来年の同窓会まで待て。そこで改めて本人に聞くんだな」
高橋は譲らなかった。これ以上は無駄だと判断した鈴木が、
「わかったよ。ちぇっ!」
舌打ちして電話を切った。
やべ遅刻しちまう!
今日は土曜日だが仕事という事を思い出した。
慌てて支度をし家を出た。
なんとか会えないかな……
鈴木はそう思いながら駅に向かって駆け出した。
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