第1話

『次のニュースです。昨日午後5時、国会議事堂前にて、世帯法反対派によるデモが行われました。参加人数は…』


プツッ


「じゃあ、仕事行ってくるから」


夫の真太郎は、まるで罰ゲームで買い出しに行かされるかのように気怠そうに言った。


「うん、いってらっしゃい…あっ」


私がそんな彼の後ろ姿を見ながらそう答えた時、あることを思い出した。


「どうしたの?志織」


「そういえば明日、病院に行く日だから、仕事とか入れないでね」


「あー…そっか。うん、大丈夫。心配しないで」


彼はそう言ってこちらに振り向き、軽く唇を私の頬に当てた。


「それじゃ、行ってきます」


「いってらっしゃい」


こんな朝を何回繰り返しただろうか。


私は玄関のポストの中を覗いてため息をついた。



2年半前、私たちは結婚した。


最初の頃はそれなりに幸せだった。


彼は両親と血が繋がっていないかったため、私も彼と幸せな家庭を築こうとたくさんの努力をした。


しかし、


人生思うようにいかないのが常だ。


…もうすぐ結婚して3年になる。



ポストの中には、


『世帯安定基本法 申請期限のお知らせ』


と書かれた封筒があった。


私はその封筒を中身を見ることなくぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。

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親子選び @satomayumaru

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