第134話 21 英雄、2戦目を迎える
次の試合、マグノリアたちは〈
このグループで一番強いという評価は過大ではないと言わんばかりの圧倒的な強さだった。
「まるでタンジー様が四人同時に押し寄せてくるみたいでしたわ。正直、あの前に立っていられる自信はありませんわ……」
「アンチガードシェルがあれば大丈夫だとわかっていても、本当に防げるのだろうかと思ってしまうぐらいあの圧力はすごいですね」
観戦目的は次の対戦相手である〈
〈
四人のヘビィアームドがまとまって動く。
ただこれだけだ。
自然、相対するチームの作戦も限られる。
敢えて孤立させた味方をエサにして背後から襲い掛かるというのも手としてはアリだろう。
〈
ちなみにエサになった仲間は瞬殺され、背後から近寄ろうとしていた残り三人はヘビィアームド四人になぎ倒されていた。
ゴリゴリのヘビィアームド四人編成とどう戦うのか。
結局はそこに行きつくことになる。
「だいじょうぶ。シショーの、いうように、たちまわれば」
「相手が一番得意とする形に素直に応じてやる必要はないからな」
とはいえ〈
それをさせない実力差があったのだと言えばそれまでなのだが、シンプルな戦法はシンプル故に強いのだというのを思い知らされる。
勝ち名のりを受けるマグノリアが拳を掲げ、フェアリーアイに向けて突き出した。
鋭い視線が画面を通じて俺たちを見ているようだ。
「結局、〈
「構成はヘビィ2、シュート1、ガード1でしたわね。とはいえオトリ役のヘビィアームドがあっさり倒されてしまい、返す刀で残りの三人もやられてしまいましたから、個々の能力やチームとしての戦い方がどんなものかはわかりませんでしたけれど」
「つまり、ふつうの、戦いかた?」
「オトリ作戦以外はそうだな。オトリ役の処理に時間がかかるだろうと踏んで三人が背後へ回り込む。後ろから接敵したヘビィがヘイトを稼ぎ、後衛に近寄らせないようにする。その間にシュートがダメージを与える作戦だったんだと思う」
「ジニアさんはオトリ作戦はお嫌いですか?」
「いいや」
倒される前提のオトリ作戦は生き抜く必要のあるダンジョンでは取れない選択肢だ。
だがここはダンジョンではなく互いの戦闘技量を競う場なのだから作戦としてはアリだろう。
「奇策でも有効な作戦ならアリだと思うぞ。せめてもう少しオトリ役が粘ってくれたら力量もはかれたんだがな。さすがにヘビィを四人も相手にしては仕方のないところか」
「つまり〈
「そうだな。だが案外、正面から殴り合うのは苦手としているのかもしれないぞ。いくらヘビィアームド四人が相手だったとはいえ、あっさり過ぎたからな」
やられる前提とはいえ時間を稼ぐ必要があるのだからあのヘビィアームドはチームでも一番の能力を持っていたと考えられる。
それを四人がかりとはいえ瞬殺したマグノリアたちが作戦を上回っていたと言えばそれまでなのだが。
「そこも含めて奇策を好むチームという可能性は捨てないでおくべきですわね。まともにやり合うと勝てないから策を弄するのかもしれませんし。おじい様の本にこうありました。『あらゆる可能性を考えよ。相手を侮ることは自分の命を捨てる行為だ』と」
「あとで映像を確認しておくか。なにか見つかるかもしれない」
だが見ていた限り応用力はあまりないようだった。
事前に立てた作戦が上手くいかなかった場合のプランBはなかったようだし。
「その時はわたくしたちにも声をかけてくださいましね。みんなで見た方が絶対にいいはずですもの。そして次も勝って、マグノリア様たちの〈
「おー!」
ティアの宣言にローゼルが笑顔で応じる。
「おー!」
「おお!」
そんな二人を見て、ササンクアと俺も声を上げた。
〈
マグノリアたち〈
あとは一位通過がどちらになるかだけだった。
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