第15話 目覚まし時計!
翌日。シレンは謎の物体から鳴り続ける奇怪な音に気付いて目を覚ました。朝っぱらからギャアギャアと騒ぎ始める。
「な、ななななな何だ何だ!? この奇怪な音は一体!?」
「ん~、もう朝?」
「冬樹! 起きたなら説明せよ! これは一体……」
シレンが指さした物体を冬樹は上から叩いた。正確には、上についてるボタンを押したのだ。すると、音は止まって静かになった。
「う~ん、むにゃむにゃ……目覚まし時計、どうしたの?」
「め、目覚まし時計……というのか。……目覚まし、か。ということは朝に目を覚ますための魔道具というわけか」
「ん?」
冬樹の言った『目覚まし』『時計』という言葉だけから、ある程度の役割と用途を理解したシレン。腐っても、人間以上の知と力を持つ神の一人なのだ。ただ、昨日から元気を取り戻し人の文化に興味を持ったシレンは、行動的になっていた。
「……朝起きるためだけにこんなものを作るとは。興味深い。解体してみようか」
「え? 解体って?」
「分解してバラバラにするのだ」
「ええー!?」
シレンは目覚まし時計を手に持って眺めまわす。更に、壊す覚悟で手に力を籠めようとする。
「ダメー! 朝起きれなくなっちゃうよ! 困るよ~」
「……むう、そうか、また今度にするか」
冬樹に困ると言われてしまったシレンは残念そうに目覚まし時計を床に下した。
(………まあ、時間はあるから急いで行う必要もないか。他に知るべきことはたくさんあるだろうからな。ん? 何かスースーするな)
落ち着いたシレンは自分の格好に気付いた。タオルを体に巻いた姿だったが、今は半裸になっていた。サッと胸元を隠す。
「………み、見たか?」
「? 何を?」
「だ、だから、その………私の胸を、裸を見たかと聞いているんだ!」
シレンは顔を真っ赤に染めて叫んだ。女神にも羞恥心はあるらしい。
「ん~と、見てないよ、どうかしたの?」
「なっ!? どうかしたのだと! 仮にも私は美しき女神、その裸を見て………いや、幼子だから仕方ないか」
(これが年頃の男だったら大問題になったが………運が良かったな。そうなると、いつまでもこの格好というわけにはいくまい)
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