第7章 1話 推しのいない生活
えいなちゃんが卒業して半月。
そして世間でもそろそろ卒業シーズンが近付いてきた。
ついこの間高校になったと思ったのに4月から3年生になる。
「ひかりー!あけおめー」
冬休みが終わり久しぶりの学校だ。
ひまりがゆうすけの腕に手を回しながら挨拶してきた。
あれからひまりはゆうすけに告白したらしく無事に付き合ったみたいだ。
「あっ!そう言えば俺たちも実はコミコミに参加してたんだ!えいなちゃん死ぬほど可愛かったなー」
ゆうすけがひまりの顔を見ながら二人で「ねぇー!」っと声を合わせ言ってきた。
「え?あたしもコミコミ行ったよ?ひまり達いたかな?気付かなかったよ」
話しかけてよと言うとあまりのあたしのキモオタっぷりに話しかけられなかったそうだ。
キモオタってそれ褒め言葉じゃん!
あたしがゆうすけの肩をドツクとひまりは大爆笑だった。
えいなちゃんのことひまりは嫌い、苦手だとずっと思っていたから今こうして大好きな推しの話を大好きな友達と話せてとても幸せだった。
「ってゆうすけはいつの間にえいなちゃんの写真集見てるの!」
たまに嫉妬とかしてるみたいだけど二人が仲良さそうでよかった。
先に歩く2人の背中を見ながらあたしは少し寂しくなった。
ゆうすけにはひまりがいるしひまりにはゆうすけがいる。
あたしはえいなちゃんしかいなかったからえいなちゃんが卒業した今何を楽しみに何を思って生きていけばいいのだろう...。
ひとり佇んでるとひまりが早くー!いこー!と言うのであたしは考えるのをやめ小走りでひまりたちのところに向かった。
「ひかりー!おはー!あけおめ」
教室に入ると友達が次々挨拶してくる。
こう見えて友達は多いほうだ。
男子も女子も関係なくみんな仲良くしている。
席につき机に筆箱を置いているとイケイケグループの1人、男子が話しかけてきた。
「水無月ってさー、冬休みコミコミにいなかった?」
「え?何々?コミコミっ?水無月がそんなのに参加してるわけないじゃん」
「そーだよ!水無月はアニメとか興味なさそうだもんな」
何も答えてないのにイケイケグループの男子たちは勝手に話を進めてた。
「でも俺見たんだよ!コミコミで並んでる水無月を、めちゃくちゃ水無月に似てるやつ!」
「ってか水無月に似てるやつを見たってことはお前もコミコミに参加してたってことだよな?」
あたしの意見は聞かず話がどんどん進んでいった。
これもうあたしの話じゃなくない?
まあいいんだけど。
そんなことを思って席を立ちひまりのところに行こうとしたとき聞こえてしまった。
「俺コスプレイヤーのえいなちゃんって子最近好きになってさ!好きになったばっかなのにもう卒業ってなって!一回でいいから直接会いたくて初参加したんだよね」
「あっ!その子知ってる!なんかSNSで凄い話題になってたな!確かに可愛いよなー」
イケイケグループから背中を向けた瞬間その男子から出た言葉であたしは体中から熱い何かがビリビリと走った。
※今回の推しあるある
推しだけを推してたからそれがなくなると無気力になる
推し友達と推しの話をしてテンション上がるが寂しくなる
常に会いたい
推しの名前が出るとすぐに体が反応する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます